旅の終わりと夏の終わり
上信越青春18きっぷの旅・エピローグ
スキー場エリアの晩夏
越後湯沢駅を出発後、電車は夏場でありながらスキーシーズンの姿を思わせる一帯を通過していきます。写真は、その名も”岩原スキー場前”駅です。
越後中里駅の傍には、
ひところ結構話題になった記憶がありますが、かつてブルートレインの車両として使われた車両を使った無料休憩所(ブルートレイン中里)も用意されています。
“スキー場だらけ”を思わせる一帯を過ぎると出てくるのが、在来線の下りルートで”国境の長いトンネル”を抜けた直後の駅となる、土樽駅です。逆に越後湯沢側から上り電車でこの駅に到着した場合、”国境の長いトンネル”へと入っていく前の、最後の駅にあたります。
線路沿いを延々流れているのは魚野川です。
鮎やヤマメだけでなく鮭の遡上も見られるというこの川が視界から消えると、いよいよ新潟とはしばしのお別れとなって、電車は谷川岳下へと潜って進みます。
参考
上越線から高崎線へ
土樽駅から”国境の長いトンネル”を超えると、下り線側の駅が日本一のモグラ駅として有名な土合駅に到着しますが、土合までくれば、水上までは残りあと二駅。
ということで、ほどなく高崎線乗車前最後の乗換駅となる、上越線の水上駅に到着しました。
上越新幹線開通後の事情として、下りであればここまで来るのがキツイ、逆に上りであればここから先が大変だという、そんな駅が上越線・水上駅です。
参考
群馬県・水上駅にて
上り上越線から上り上越線への乗り換えをすることとなった、JR上越線の水上駅ホームから。
山の近くのローカル駅、といった佇まいが、なんとも旅情を誘います。
上越線上り全便のおよそ半分程度は長岡駅-越後湯沢駅/越後中里駅間、いわゆる”魚沼エリア”内で運行されているため、元々新潟県側から水上駅までくる電車(=上越線)の本数はかなり少ないのですが、水上駅から先に進む電車(=水上駅以南の上り上越線)の本数については、その限りではありません。
この点、余談として、JR水上駅は(JR東日本の運賃計算上の区分として)“東京近郊区間”に該当すると判断される駅の一つでもあります。
ここから先関東一円内部の移動(※)をするにあたっては、移動距離を問わず乗車券の有効期限は一日のみと規定されているんですね(それ以外の区間が含まれる場合、例えば関東から東北や関西への移動をするにあたっては、原則としてキロ数によって有効期間が延伸されます。例えば、100キロ以上200キロまでなら2日間有効、200キロ以上400キロまでであれば3日間有効など)。
かつて(例えば近代以前)であれば文化圏の違い、現在であれば交通インフラの管轄違い、具体的なところとしては上越新幹線開通による在来線整備の結果の産物でもあるのかもしれませんが、丁度谷川岳を境として、魚沼エリアと群馬最北部の間に少々の敷居を感じさせるダイヤが遺されている、と言った形ですね。
水上駅構内にも周辺風景にも、まだまだ雪国の風情が残されていますが、とにもかくにも上越線が谷川岳を超えたことによって、電車は関東圏へ入りました。
水上駅を含む”みなかみ町”として見た場合、”町内”にはぼちぼちスキー場も存在しますが、直下の沼田市を超えてさらに渋川伊香保エリアあたりまで南下すると、降雪もほぼ打ち止めとなります。
“雪国”的な風情も、停車の度に徐々に薄れていく、といった感じですか。
それでもしばらくは昨日まで、さらにはつい先ほどまでと同じような沿線風景の中を走ることになるのですが、車窓から望める風景は、ぼちぼち旅の終わりを感じさせる要素が濃いものへと変わっていきます。
参考
- JR東日本公式サイト “運賃計算の特例“
- 群馬・新潟県境に雪が多く降る理由(高所の気候と湿った雲、”大雪”と空っ風)