横川駅から高崎駅へ、高崎駅から水上駅へ

JR高崎駅にて

旅行プラン上の都合から碓氷峠鉄道文化むら（公式サイト）を早々に切り上げた後、最寄りのJR信越本線横川駅経由でJR高崎駅まで。

高崎駅では上越線と吾妻線が同じホームを使っていますが、高崎駅からは上越線で水上駅まで向かう行程です。

JR上越線

JR上越線は高崎駅（群馬県高崎市）と宮内みやうち駅（新潟県長岡市）を結ぶ路線で、命名は上野こうずけ（旧群馬県域の国名）と越後えちご（旧新潟県域の国名）を結んでいることに由来します。

この点は後に開業した上越新幹線の”上越”にも引き継がれていますが、上越線や上越新幹線がいうところの”上越”は、古代の律令制時代にルーツを持つとされる新潟県内の地域区分、京都に近い順に上越・中越・下越とされたという命名とは異なる由緒を持っている点が、やや紛らわしいといえば紛らわしいところですね。

新潟県内の区分に従うのであれば、上越線は「中越」地方と高崎を結ぶ路線となります。

首都圏からの新潟行き行程は、“碓氷峠”超えを含む信越本線に限られていた（参考：“アプト式”と特急そよかぜ）、という時代を経て、1931（昭和6）年の上越線開通へと進むのですが、上越新幹線が東京駅まで乗り入れている現在は、かつて上越線が担っていた役割が大きく軽減したことから、道中の一部区間（水上駅・長岡駅間）が大幅に減便されています（ジョルダン “上越線の時刻表・停車駅“）。

JR吾妻線

JR吾妻線は、上越線で高崎駅から6つ目の駅である渋川駅と、群馬県の北西部に位置する大前駅を結んでいます。

温泉街で有名な渋川伊香保（渋川伊香保観光協会公式サイト）の”渋川”（渋川市渋川）と、レタスやキャベツなどの高原野菜で有名な嬬恋（吾妻郡嬬恋村大前。嬬恋村観光協会公式サイト）が結ばれた路線ですね。

群馬県内・吾妻線沿線のもう少し北側には、渋川伊香保と同じく温泉街として有名な草津（草津温泉ポータルサイト）がありますが、ひところ公共事業を絡めて話題となった”八ッ場ダム（国土交通省関東地方整備局公式サイト “八ッ場ダム“）”も、やはり吾妻線の沿線（最寄り駅は川原湯温泉駅です）に位置しています。

自然あり、温泉ありといった観光資源満載の路線でもあるのですが、運行ダイヤ的にも水上駅発の上越線に負けず劣らず、色濃くローカル線の雰囲気を醸しています（ジョルダン “吾妻線の時刻表・停車駅）。

再び高崎駅発。水上駅へ。

吾妻線と共用であるという上越線の隣のホームには、まさにこの日の朝横浜駅を出た時に利用した路線である、上野東京ラインの東京方面行き電車が入線していました。

その隣のホームには上越線の長岡駅方面行きが入線していますが、“地元方向に戻る電車”と”さらに遠くへと進む電車”の交錯には、18きっぷ旅ならではの旅情を感じますね（参考：JR東海エリア）。

窓外に目を向けると、上越線は横川に負けず劣らずという山間部を走行中でした。

かつてドライブ旅で通った（八ッ場ダム傍の）不動大橋を思い出すような、大きな橋も架かっています。

JR上越線・水上駅着

水上駅にて

JR高崎駅を出発した上越線は、約一時間後の13時8分、定刻通りに水上駅に到着しました。

ホームでは駅名入りで”水上温泉郷”（みなかみ町観光協会公式サイト）が推されています。

前回の18きっぷ旅では水上駅での乗り換えの時をもって“旅の終わり”を強く感じさせられましたが（参考：上越線から高崎線へ）、今回は水上駅に降り立った時をもって旅本番となったことを強く感じさせられました。

下り線の旅であればさらに旅気分が高まることになる駅であり、上り線の旅であればその気分が終わりの時に向かい始める駅でもありますが、情緒とは別の現実問題として、水上駅着の上越線と、水上駅発の上越線は、同じ上越線でありながらほぼ別ダイヤで運行されているという点に注意が必要となります（参考：【群馬/新潟青春18きっぷ旅：初日その12】青春18きっぷ旅と道中のプラン調整）。

水上駅は、確かに駅自体も”18きっぷ旅”的な旅情に満ちていますが、首都圏を起点とする上信越旅の場合、旧国鉄や現JRの言う「東京近郊区間」の最北端付近に位置していることから、運賃設定的にもダイヤ的にも「境界」を感じさせられる駅の一つとなるんですね。

駅構内のレトロ要素

水上駅には年代を感じさせる駅名標が残されている上、

レトロな海抜表示も残されていて、既に結構な高所に来ていることが改めて確認できます。

隣のホームへの移動手段としては、今となっては恐らく珍しい部類に入るのではないかという、木造の連絡通路が残されています。

駅の開業が1928年（昭和3年）10月30日で、その後2001年（平成13年）には駅舎を改修・増築しているようですが、連絡通路については現在までのところ、補強工事が行われるにとどまっているようです。

築ほぼ100年を経過していますが、今もそれで大丈夫だと判断されているということなのでしょう。

むき出しの木造屋根や窓の外に確認できる鉄骨の補強など、“積み重ねてきた年代分”の風情を感じさせるならではな空間となっていますが、最新のデザインとアナログなPR方法の組み合わせで構成された通路間の広告からは、レトロな味わいを持つ”今”のにぎやかさが伝わってきます。

かつての建築技術、現在の補強技術、共に中々すごいものがありますよね。

昨今は水上温泉街の廃墟化が言われることも多く、YouTubeでもその様子が撮影された色々な動画が上がっていたりもするのですが、産官学協同での再生プロジェクトが立ち上げられたことなどから（参考：東京大学都市デザイン研究室 “みなかみ廃墟再生プロジェクト“）、やや流れが変わりつつもあるようです。

SLぐんま、国鉄12系の”試運転”

この日お昼過ぎの水上駅には、”SL試運転”と表示された青い車体の列車がホーム一杯に停車していました。

はるか先では客車を牽引する機関車も目に入って来ますが、かつてのブルートレインを思わせる”青い車体”効果あってのことなのか、”青い客車”を見るとどうしてもテンションが若干上がってしまうという部分は無きにしも非ず。

その部分を差し引いたとしても、“旅先でのイレギュラーな一コマ”には違いないですからね。

連絡通路には物々しい黄色と黒の通行止め表示がされていたのですが、駅員さんにその旨伺ってみると

「今日に限っては特別な電車が停まっているから、お客さんが間違えないように出しておきました」

「隣のホームに行って写真を撮って来る程度であれば全く問題ないですよ」

「ただしあの電車は長岡には向かわないので、そこは気を付けてくださいね」

とのことで、早速隣のホームまで。

青い客車がホームの奥に向かって延々と続いていますが、これだけ長い客車を引っ張っているあたり、営業運転時の人気の程が窺われます。

特にヘッドマーク表示のようなものはなく、その代わりに、客車の前面に反射板が二枚ほどついていました。

SLぐんまで現在も使われている、旧国鉄の12系車両ですね（SLぐんま公式サイト）。

次の目的地へ

しばしの後、上越線乗車待ちのために隣のホームまで。

程なく長岡行き上越線が、水上駅ホームに入線しました。

次の目的地は、”日本一のモグラ駅”こと、上越線の土合駅です。