青春18きっぷと三セク鉄道-北関東・甲信越エリア-

北陸新幹線開通と旧信越本線

旧信越本線区間の鉄道敷設は、東京ー前橋間を鉄道で結ぶことを計画していた日本鉄道による上野駅ー高崎駅間の鉄道（高崎線）開通に始まりますが、この区間は、東海道と並び期待された「中山道」ルートに敷設されることになった路線（中山道鉄道）の起点でした。

上野高崎間は明治15（1882）年に着工し、上記の通り明治17（1884）年に高崎までが全通します。

このプランの延長で、高崎駅を起点として長野経由で新潟までの鉄道敷設が計画されますが、これは中山道ルートと日本海沿いの動線を結ぶ役割が担わされたことによるものです。

まずは「碓氷峠」以外の区間の工事が先に進められ、その後に「碓氷峠」区間の工事に進むという形で計画された敷設は、明治17年に高崎側から着工。

翌明治18年には高崎横川間が開通し、4年後の明治21年には直江津軽井沢間が開通しました。

「締め」の区間となった難所の碓氷峠区間、および直江津から新潟までの延伸は、敷設の節目が二年刻みで進みます。横川駅・軽井沢駅間が明治24年着工、同26年に開通すると、直江津駅・新潟駅間は明治28年に着工、2年後の明治30年に開通し、晴れて信越本線が全通しました。

この路線の特質は、前線の両端が三セク鉄道・私鉄でありながら、間の区間が全て官営によっていた点ですが、北越鉄道は、現在「ほくほく線」を運営する北越鉄道とは別の会社で、半官半民と三セク鉄道色＝国家プロジェクト間の強い日本鉄道とは違った純粋な私鉄（民間鉄道）です。

明治末に国有化され、鉄道院・鉄道省から戦後の国鉄、現在のJR東日本の一部となっていく鉄道会社で、中央の財界人、および地元新潟の豪商の共同出費によって設立されました。

参考

平成9（1997）年10月１日、高崎駅ー長野駅間に長野新幹線（のちの北陸新幹線の一部区間）が開通すると、そのことに合わせて信越本線の横川駅ー軽井沢駅間（旧碓氷線）が廃止され、

軽井沢駅ー篠ノ井駅間が、三セク鉄道のしなの鉄道線に経営分離されました。

さらに平成27（2015）年３月１４日、長野新幹線が長野駅から金沢駅まで延伸されて北陸新幹線となると、篠ノ井駅ー長野駅間がJR信越本線に残された上で、

以上の区間が、しなの鉄道線と同じく、JRから各三セク鉄道へと経営分離されました。

結果、現在は

以上の区間がJR東日本の信越本線として残されています。

これらの区間では現在も全て青春１８きっぷの利用が可能ですが、注意を要するのはこのうち篠ノ井駅ー長野駅間で、

利用できない区間の中に、飛び地的に利用できる区間が含まれています。

ただし、しなの鉄道線のきっぷ自体は長野駅で購入可能な上、しなの鉄道線の運行上の拠点（乗り継ぎ駅）も小諸駅となっていることから、長野駅からしなの鉄道線を利用する場合に限っては、篠ノ井駅は一通過駅となる場合が多いです。

逆も然りで、軽井沢駅からしなの鉄道線に乗車したとしても、長野駅までのチケットで乗車することができます。

東北新幹線や北陸新幹線の開通と異なり、上越新幹線の開通は、上越線の経営分離をもたらさず、国鉄→JR内の路線再編にとどまることとなったのですが、

といった形で再編が進みました。

結論として、現在の上越線は、新幹線を補完する地域輸送、および首都圏と日本海側を結ぶ貨物輸送に重点を置く路線へと、その役割を変えています。

「軽井沢・長野フリーきっぷ」（しなの鉄道線）や「北しなの線フリーきっぷ」（北しなの線）と言った一日乗車券をはじめ、複数の企画きっぷが発売されています。

「妙高はねうまライン」のほか「日本海ひすいライン」にも乗車可能であるという一日券、トキ鉄ツアーパス（大人2400円、子供1200円）をはじめ、団体割引、回数券、地元向けチケットなど、複数のチケットが用意されています。