この記事を読むのに必要な時間は約 2 分4秒です。
越後湯沢の『雪国』の宿・高半 文学資料室/かすみの間(川端康成定宿)
高半と川端康成
越後湯沢にある老舗ホテル”高半”(公式サイト)は、かつてノーベル賞作家・川端康成が代表作『雪国』を執筆するにあたって、およそ3年間にわたり定宿にしていたホテルです。
ということで、”『雪国』の宿”の所以は、越後湯沢自体が雪国にあることと、川端康成が『雪国』を執筆した宿であること、後者のニュアンスが濃いダブルミーニングとなっています。
執筆に利用された部屋”かすみの間”は、現在も当時のまま保存され、川端康成関係の資料が展示されている文学資料室と共に公開されています。
以前は宿泊客以外にも公開されていた記憶があるのですが、コロナ禍以降(ということだと思います)は宿泊客に対してのみ、公開されています。
参考:雪国の宿高半公式サイト “「雪国」の世界“
文学資料室
ホテル『高半』内にある文学資料室は、宿泊者であれば見学は無料です。メインはもちろん川端康成関係の展示ですが、そのほかの資料も展示されています。
「高半」の宿帳・帳簿など。
これは、かつての表扉でしょうか。
越後を代表する戦国大名・上杉謙信関係の展示もあります。
高半の歴史や越後の歴史そのものが展示されているコーナーにも、見ごたえがありました。
とはいえ、やはり展示のメインである『雪国』関連の資料は、群を抜いて充実しています。
色紙に関しては現在進行形で増え続けている様子も伝わって来ますが、
棚一面に飾られ、丁寧に保存されている圧巻のコレクションが目を引きます。
収集資料の充実度的に、”『雪国』記念館”、”『雪国』資料館”の様相をも呈していますが、
まさに『文学資料室』というにふさわしい、聖地一流の展示でした。
かすみの間
『雪国』を生み出すために使われた執筆部屋も、公開されています。
実際に川端康成が執筆活動に使っていた”かすみの間”は、映画『雪国』の撮影でも使われたようです。
ここが、現在も保存・公開されている、川端康成の元・執筆部屋です。部屋の片隅には『雪国』のヒロインである駒子(実在の人物をモデルにした、架空の人物です)の和服が飾られていますが、この一点で大分雰囲気が変わってきます。そこにある種の彩が添えられる感じですね。
一見普通の和室といえば普通の和室なのですが、
そもそも、いわゆる現住建造物に”普通の和室”が普通には存在しない節もある昨今、
部屋の外に迫る湯沢の山々と”和室”の趣が相まって、そのまま『雪国』の世界と繋がっているようにも伝わってきます。