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【群馬/新潟青春18きっぷ旅:初日その15】土合駅にて
“日本一のモグラ駅”土合駅の改札付近
土合駅改札
“日本一のモグラ駅”こと土合駅のホームから、486段の階段を上り切って、改札へ。
改札前にはホームへの案内が設置されています。
きちんと実用に供すためのメンテナンスがなされ、かつ定期的に清掃されているのであろう様子はしっかり伝わってきますが、駅舎をはじめ、駅ホームや連絡通路などの施設が(壁面に生えた苔などを通じて)開業以来の年数を経てきた様子もまたしっかり伝えて来るので、駅自体が年代物であることを改めて感じさせられます。
このあたりは、土合駅にしても水上駅同様に、といったところですね。
思えば、水上駅から上越線に乗って土合駅に到着したのは高々20~30分前のことでした。
にもかかわらず、その時間帯のことに対して”はるか昔のこと”感がとても強く、改札の向こうに外の景色が見えた瞬間には中々の爽快感があったというのも、やはりすべては土合が”日本一のモグラ駅”であったことに起因します。
電車を降りてから改札を出るまでの間に、”486段の階段のぼり”という独立したワンクッションがある感じなんですよね。
土合駅駅舎内
改札跡と精算所跡
かつての土合駅の改札です。現在の土合駅は無人駅ですが、旧改札がそのまま残されています。昔の待合室は、そのまま待合室として機能しているようです。
その昔の精算所も、窓口はそのまま残されています。
改めて、駅に自動改札や自動精算機が無かった時代が懐かしく思えてきますが、かつての駅員室内では、喫茶店”駅茶mogura”(みなかみ観光協会公式サイト、公式Instagram)が営業されています。
駅名標の手前に位置する食器棚と流し台、その並びに据えられているのは冷蔵庫でしょうか。
外側から一見したところ、精算所時代がそのまま残されているような雰囲気を醸しているように見えなくもありませんが、そう感じるのは恐らく手前にあるパーティションや部屋の奥に掛けられたひらがな駅名標等々に視線を引かれるからで、よく見ると部屋の中央には外食店のセントラルキッチンのような設備が設置されています。
この時は残念ながら店内で一休みすることは叶わなかったのですが、DIY風のオシャレな店内にはかつてを感じさせる設備もボチボチ残されているようで、かつてを知る人とそうでない人の思いが交錯しているような、かつてとは別の機能を持つ空間になっています。
奥の窓の外には、恐らくは国鉄時代からそれほど変わっていないであろう周辺風景が望めますが、”土合駅の新旧”と”その周辺を取り巻く普遍的な自然”のコントラストは、双方が双方にとってのいいアクセントになっています。
この先の遠い未来にいる誰かは、恐らくは今の自分と同じような目線で、”今この瞬間”が遠い過去となった、今はまだうかがい知ることが出来ない風景を見ることになるんですよね。
果たしてその時には、何が過去になり、何が現実として存在しているのでしょうか。
そんなことが頭に浮かんだりもしますが、店頭には”駅茶mogura”のメニューも出ています。
今の土合駅と、その周辺事情
待合室側から見た旧・駅員室、現”駅茶mogura”は、”有人”を感じさせる無人駅の雰囲気を醸しています。無人駅となって久しい、ただし今でも恒常的に人の立ち入りがあることはハッキリ伝わって来る感じですね。
注意書きも提示されています。
土合駅といえばこれ、という部分としては、やはり谷川岳(みなかみ町観光協会 “谷川岳“)の最寄り駅であることが挙げられます。日本百名山(YAMAP “日本百名山一覧“)の一つに数えられる名山であり、かつ”遭難者数(=遭難死者数)世界一”という不名誉な記録を持つ”魔の山”でもあるのが谷川岳ですが、名山を前にして否が応でも高まる気持ちに対する、中々に重い注意喚起ではあります。
その横には、一つの重大事件の発生が平成時代の闇を多々垣間見せることになってしまったという”横山ゆかりちゃん誘拐事件“(群馬県警によって、限度額である600万円の報奨金が設定された事件です)の情報提供を求めるチラシが貼られています。
他にも、自然界には自然界一流の危険が潜んでいるのだということが告知されているのですが、
前記したように、土合駅は谷川岳の最寄り駅でもありますということで、駅前には谷川岳との間を結ぶ路線バスも運行されていて、待合室には時刻表も貼られています。
プラン変更 -改めて、階段回顧-
486段上り
これは余談ですが、上越線の隣の車両には、結構賑やかにやっていた観光客の集団がいました。
駅下車後、彼らは階段を上り始めてからもしばらくは同じようにワイワイやっていたものの(笑い声や話し声、パンパン拍手する音などが、トンネルの中の音のように響いていました)、数分の後には全く話し声等々が聞こえなくなってきた、というようなこともあったのですが、要は実際上ってみると、ぱっと見の印象を凌駕する位のハードさがあったということなのでしょう。
到達点が消失点に見えるという、見た目自体の衝撃も中々エグかったのではないかと思うのですが、もちろんゆっくり時間をかけて上れば誰にでも上れる階段ではあるし、常日頃から体を鍛えているのであれば、普通に上れる階段ではあるとは思います。
恐らく地元の人に聞いたとしても、似たような答えが返ってくるところではあるでしょう。
ただし一般論として一言付け加えるなら、地方に出た時に地元の人がいう”簡単だよ”とか”大丈夫大丈夫”という類の話を安直に言葉通り信じ込むのは、それはそれで中々危険なことでもありそうですし(判断を下すにあたって、”地元”と”それ以外”間で言外の想定・前提が異なってしまう場合が考えられるためですね)、特に運動不足気味の人に関してはかなり注意を要します、ということですね。
下り上越線・土合駅の利用回避
改めて、個人的にも土合の階段で削られた体力は想定外だったので、次に首都圏から土合駅に来ることがあったとしても、その時は一つ先の土樽駅まで行っており返そう(上り線の土合駅は地上階に作られています。参考:上越線から高崎線へ)、なんてことを考えつつ、ここで”土合駅着後、再び時間を空けて土合駅スタート”となっていた当初のプランを変更することにしました。
この時点では、ボチボチ”イレギュラー”が想定内になりつつあったのですが、今にして改めて思うこととして、こういうこともまた、旅の面白さのうちなんですよね。