【blog/ミステリ小説レビュー】西村京太郎『七人の証人』(講談社文庫、1983年)

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【blog/ミステリ小説レビュー】西村京太郎『七人の証人』(講談社文庫、1983年)

強盗殺人の罪を着せられ、失意の中に死んでいった息子のため、無人島に事件当時の事件現場を再現した父親=佐々木による、私設法廷での闘争がストーリーの核となります。

佐々木は、事件を客観視できる人間が欲しいということで物語開始早々十津川を誘拐するのですが、何がなんだかわからないうちに十津川が殴打され、気を失って誘拐されることから始まるので、読者は気がついたら話に引っ張り込まれています。

本編の私設法廷の展開ですが、人の記憶の曖昧さや証言のいい加減さの隙をつきまくるかのように、実際の法廷で事実だと断定された証言の数々を覆していきます。

事実認定されたはずの事実とはまるで違った真相が浮き彫りになる傍らで、七人の証人のうち、初めから明らかに真犯人ではないだろうと思われる人物を除外すると、それっぽい人が一人また一人と容疑者候補から消えていきます。

その過程は、先入観の粗を探しつつ話が整理されていくように見えるので、ある種の心地よさに満ちています。確かに、人間の思い込みだとか先入観って、結構いいかげんといえばいいかげんだよなということが、次々実証されていくわけです。

のちのトラベルミステリにおいても度々見られることとなった、人間心理の妙を突いたような話の展開が、登場人物たち、ひいては読者の憶測の裏へ裏へと進む形で進んでいくので、作中世界の吸引力はかなり強いです。

初期の西村京太郎作品の代表作にも挙げられている一冊で、読者を飽きさせない仕組みがそこかしこに仕掛けられているので、最後の最後まで楽しんで読めます。

横浜出身・在住。現在、主に横浜(みなとみらい線沿線中心)の街歩きガイド記事を書いています。鎌倉・江ノ電沿線街歩きや箱根エリアの他国内小旅行記事をはじめ、その他の話題もボチボチ。サイトへのご意見・ご感想等々は、お手数ですがPCからお願いします。

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