地方・地域の話題(書評)

【まんがレビュー/地方・地域の話題】もぐら『うちのトコでは』

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もぐら『うちのトコでは』(飛鳥新社、2020年3月現在単行本6巻まで出版)

概要

ジャンル 県民性漫画
登場人物等 各都道府県の擬人化キャラが登場して、4コマ漫画の形式でご当地ネタが展開されます。

 

あらすじ/感想

出版期が丁度”ゆるキャラ”がブレイクし始めた頃にかぶっているタイトルです。

これ以前の地域ネタだと、活字になってしまう感じでしょうか。

以下、単行本にして三巻までの感想ですが、とりあえず、いい点と悪い点があります。

いい点は日本全国を網羅している点です。とりあえず47都道府県を満遍なく話題にしてくれているので、満遍なく読み進めることが出来ます。

視野を広く持って、色々な地域の話題を読み進めていくことが出来るんですね。

なのですが、悪い点はというと、残念ながらやはりこれまた「47都道府県を網羅してしまっている」点なんです(と、個人的には感じました)。

というか、結構地域によって濃淡がある点が、弱みといえば弱みにあたるでしょう。ざっくり言うと西日本は描写が濃く、反対に東日本特に関東は比較的薄いです。

あとは何県がどこに出てくるのか、巻頭にインデックスがある上、大体北から順に紹介されているのでなんとなくはわかるのですが、それでも唐突に「神奈川くん」が出てきたりすることもあるとか、読み進めながら的が絞りづらく感じるという部分もありました。

これだったら全県の紹介を済ませた後に、各地域ごとに集中的に話を作って行った方がよかったんじゃないのかなとも思ったのですが、大体そのあたりがマイナスポイントだと感じた点です。

読み進めていくと、やはり自分の地元と、そこに隣接する都県の部分には、どうしても興味をそそられます。神奈川と、東京埼玉千葉、次いで静岡山梨の隣接県と、あとは北関東の三県ですか。

そこに旅行で行ったことがある地、行きたい地がかぶさってきて、最終的にはコンプリート、という感じの読み方になりました。

ここで言われる県民性って大体合っているんじゃないかとは思います。あくまで大体ですが、あーなるほど、言われてみるとそんなところがあるかもしれないなというあたりから「あるある、確かにそうだわ笑」みたいになってしまうところまで。

ただ正直に言わせてもらうと「うーん、これはどうだろうか」みたいなのもなくはなかったです。「神奈川くん」に関しては、結構ごちゃっとしている印象でした。

神奈川くんの「言葉遣いが荒い」性質は、恐らく湘南民要素ですね(「~だべ」とか「ちげーよ」「やんよ」あたりの感じ)。

あとは、「横浜が独立したら埼玉に抜かれて云々」は、厚木海老名相模原座間あたり(いきものがかりエリアとその周辺)、小田急沿線の県央民の感覚でしょうか(?)。

そこに入ってくる「おしゃれイメージ」や「(周りの人間が言う)神戸がライバル」みたいな感じが、まぁ横浜要素といったところなのでしょう。

わかるといえばなんとなくわかる気もするのですが、これを一気に詰め込むとキャラ崩壊につながってしまうんじゃないかというか、さすがにちょっと濃すぎやしないかというか笑、兵庫を5分割するなら、神奈川も4~5分割してほしかったかな、とは思いました。

あとは東京くんの描写も。

まぁ、大体合ってはいるんじゃないかと思うし、意図するところもわからなくもないのですが、三島由紀夫の小説で主役を張れそうな「良家の子息」じみた、あるいはこち亀の思い出回に両さんの昔の友達として普通に出てこれそうな、そういうのが(あくまで私見なのですが)東京くんイメージだったりします。

人口1000万都市の中では、比率的に絶滅危惧種に近いような、希少種であるとは思いますが。

「うちトコ」で言われてるような東京くんは、恐らく高度成長期以降に地方から東京に出てきて、とりあえずそのままいついちゃった(だからアイデンティティの土台部分は未だに地方にあるとか)みたいな感じの東京くんですよね。

隣県との関係ということでは、何かにつけて静岡ちゃんにいいところを見せようとしてカッコつけてる神奈川くん、それをどこか俯瞰している静岡ちゃんという構図、言われてみるとそんな風に思えなくもないかもしれないという、そういう不思議な感覚があったりもしました。

静岡=女子、東京・神奈川=男子というのも、選択の妙なのかもしれませんよね。

総じて、自分の地元のネタをどっぷり本音で楽しめるというよりは、自分が良く知らなかった地域のべたべたな「あるある」ネタを一通り知れる、みたいな楽しみ方が出来る本ではあると思います。