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【書評/エッセイ集】三島由紀夫『若きサムライたちのために』

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三島由紀夫『若きサムライたちのために』(1996年、文春文庫)

昭和40年代のエッセイ・対談集の「まとめ文庫」です。

三島由紀夫さんの死が昭和45年なので、まさにその前年までの数年間にまとめられたものです。

表題になっている「若きサムライたちのために」は冒頭を飾り、当時の世相を見て三島由紀夫さんが思ったところをまとめてあります。

分厚い教養と繊細な感性、精緻な頭脳、現実に生きながらも理想を持ち続ける心意気、そういう姿勢が文章からにじみ出てくる感じはまさに「ならでは」。改めて「あの小説を書く人にこの感性、この見方、この文章あり」みたいな引き込まれ方をしてしまうこと必須です。

書かれている内容という内容が、所によりというかほぼ全編に渡って面白いように腑に落ちてくるのですが、内容によってはこれが昭和40年代半ばに書かれたとはとても思えないような内容も含まれています(特に「若きサムライ」終盤に掲載された、平和運動の下りは見事な慧眼です)。

福沢諭吉の『学問のススメ』や、時事新報社説としてまとめられた「脱亜論」のように、名文は時代を超えてくるのでしょう。どの一文がどうだというような本では必ずしもないですが、「世の中について、ちょっとまじめに考えてみたい」なんて場合にはお勧めな一冊だと思います。