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【首都圏日帰り小旅行】ちょっと遅めの初詣と箱根 その3:星の王子さまミュージアム

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【首都圏日帰り小旅行】ちょっと遅めの初詣と箱根 その3:星の王子さまミュージアム

「星の王子さまミュージアム」は、箱根の仙石原にある、フランス人作家・サンテグジュペリ著「星の王子さま」の世界が体現されたミュージアムです。

仮に元々はサンテグジュペリやその著作のファンでなかったとしても、その場の雰囲気を味わえる、来訪を楽しめるミュージアムには十分なっていますし、常設展示では著者・サンテグジュペリの生涯も丁寧に追ってくれているので、「こういう世界を生きてきた作家さんは、一体どんな話を書くのだろうか」といった興味の持ち方が出来たりします。

フランス文学やサン=テグジュペリに取り立てて興味がないような場合は雰囲気だけを楽しむ、ファンであればリピートの対象施設にするといった感じで、興味の持ち方に応じていく通りかの楽しみ方をすることができるのは、ありがたいところ。

園内中ほどまで歩いたところ、左奥がミュージアムの入り口です。

about 星の王子さま

「星の王子さま」は、パイロットである「ぼく」がサハラ砂漠不時着後にほどなくして出会った「王子さま」との星を巡るお話し、「星巡り」を巡る掛け合いが作品の柱です。

「王子さま」の正体とは、「ぼく」の心の奥深くに眠っていたかつての「ぼく」そのものであって、いわば「誰もが一度は通ってきたであろう世界」の住人なのですが、そんな「王子さま」が既に大人となった「ぼく」の前に登場したところから、物語が始まります。

不時着後に「ぼく」の前に登場した王子さまは、「ぼく」にとって自分にしかわからなかったはずのことをわかってくれるような感性を持っていたり、幼い子供にとっての等身大の世界に現在進行形で生きていたり、あるいは世間一般の大人をどこか斜な目線で見ていたり、世を達観したようなつぶやきをしてみたりと、作中において大なり小なり「ぼく」の意表を突きながらキャラを立てていきます。

「ぼく」が成長と共に感じ続けてきたのであろう世の不条理や切なさやるせなさ等々が含まれた「(王子さまによる)星を巡る旅」考察と、サハラ砂漠のど真ん中に不時着したという「ぼく」にとってのシビアな現実。

この二つのテーマが、「王子さま」と「ぼく」とにソフトに絡みながら物語は進みます。

少しオチ付近の話をしてしまうと、「星」って何? 「王子さま」の星を巡る旅には一体どんな意味があったの? 総じて、「ぼく」にとって一番大切にすべきことってどんなことなんだろう、といったことが、著者・サンテグジュペリが(「王子さま」の存在を通じて)読者に伝えたかったこと、物語のクライマックスを飾る部分だったりします。

ちなみに、ミュージアム内の撮影許可ゾーン(出口につながる部分)で待っていてくれる人たちは、王子さまの星を巡る旅に出てくる「星の住人」達ですが、誰も彼もキャラの濃い人たちばかりです。

作中の王子さまは、この人たちのことごとくを斜な目で見ていくことになるので、表現を変えると、この人たちは王子さまがキャラを立てていく上での「かませ」みたいな人たちでもあります。

そうはいっても決して悪い人たちではないんですよね。

「星の王子さま」から距離を取って表現するのであれば、この人たちはこの人たちで時代に翻弄されていた人たちなのだ、なんていう言い方もできるでしょう。

以下、若干ネタバレ含み・私見含みの記事になるので、もしそれが気になる方は「施設」の項目へと一気に飛んじゃってください。

・・・とまぁ、仮に「王子さまによる星を巡る旅」だけで物語を作ったとしても、作風如何では十分名作足り得たかもしれません。

なのですが、大人向け童話の古典・定番ともいえる「星の王子さま」の名作たる所以って、サハラ砂漠に不時着したパイロットである「ぼく」の生還に歩みを合わせるかのようにして「王子さま」が消えてしまうところにあります。

作中の柱となる「ぼく」と「王子さま」の掛け合いとは、たとえて言うならリアルな死を目の前にした人の頭に「走馬燈」が巡ったような話だともいえますが、作中の「ばく」は、不時着したサハラ砂漠のど真ん中でリアルな死と向かい合うことによって、幸か不幸か、そのような「走馬燈」を見ることになりました。

「走馬燈」の全ては、作中ラストで「王子さま」と出会った場所である、夜のサハラ砂漠のど真ん中の景色に置き換えられることとなります。この風景を見たとき、思うとき、「ぼく」は王子さまとの不思議な体験の全てを思い出す、というエンドです。

一番大切なものとは、人としての温かみ、思いやり、目に見えない気持ち、そんなものだと「王子さま」はいい、「ぼく」もそこに共鳴するのですが、先を急ぎすぎて目標を見失ってしまっては生きていく意味すら曖昧になってしまう、なんて感じのニュアンスも含まれています。

堅苦しい言葉を使って言えば、それがすなわちポストモダン的価値観(近代合理主義への懐疑や反発)への賛美にはつながらなかったとしても、行き過ぎた近代化への警鐘みたいな含みがベースになっているともいえますね。

「走馬燈」が見せた美しい風景は「ぼく」にとってはこのようなもの(作中世界そのもの)だった、それでは、あなたがた(読者諸氏)にとっての一番大切な風景とは? という普遍的なノスタルジーへ結びついていく、そのラストあってこその名作なんですね。

星の王子さまミュージアム・施設

そんなこんなで「星の王子さま」が施設名に冠されたミュージアム、来訪記です。

中央には”星の王子さま”と、背景にはおしゃれっぽい建物。

位置的に、中は恐らくミュージアムとして機能しているのではないでしょうかと思います。

外に目を向けると箱根の山々。奥に見える建物はレストランとミュージアムショップ。

にじみ出る異国感も風情のうち、ミュージアム名物であるフォトジェニックスポットです。

営業中のお店だったり、人が住んでいたりというわけではない、あくまで作られた街並みなのですが、これはこれである意味究極のVR、このリアル感はくせになります。

写真の右端が、ミュージアムへの入り口です。

ミュージアムの入り口から中に入ると、「サンテグジュペリ」の世界が始まります。

星の王子さまがメインですが、星の王子さまのみの世界というよりは、サンテグジュペリの世界そのものが表現されています。

ランチ

ミュージアムを一通り見終わって出てくると、経路はミュージアムショップやカフェ・レストランへと続きます。多少距離はあるのですが、道なりに歩みを進めれば自ずとその方向へ歩いていく事になる、という程度にはわかりやすいです。

いい感じの時間だったので、ランチもミュージアムのレストランでいただきました。

味の方も確かで、かなりおいしかったです。

作中中盤でラストの展開のフラグを立て、そして実際その回収に来たという「黄色い蛇」のパスタ。

 

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