よこすか海軍カレー館
“海軍の街”と海軍カレー
横浜市の南部に隣接する横須賀市(特に東京湾沿いのエリア)は、幕末に造られた製鉄所をルーツとする海軍工廠(軍艦を建造する基地)や、明治期に横浜から移転した鎮守府(基地)が置かれていたことなどから、幕末以来の海軍の街として有名なところです。
横浜が貿易港として発展の一途を辿った時期(参考:横浜の歴史年表 その2:明治の横浜)、横須賀は帝国海軍の軍港としての発展を遂げることとなるのですが、終戦後、旧帝国海軍の街が新たにアメリカ海軍の街としてスタートを切ることになった横須賀で、90年代がまさに終わりを迎えようとしていた1999年(平成11年)、旧帝国海軍時代の名物が復活することになりました。
それが海軍カレーです。
よこすか海軍カレーには「当時のレシピに基づいて作られたカレーを横須賀で提供する、その際には牛乳とサラダをセットで出す」という条件を満たしたお店のうち(詳細は公式サイトにて)、“カレーの街よこすか”が認定したお店のみが”よこすか海軍カレー”のお店であることを名乗ることが出来る、という定義があるようです。
元祖海軍カレー・よこすか海軍カレー館(閉店)
“カレーの街よこすか”(公式サイト)は横須賀市、横須賀商工会議所、海上自衛隊横須賀地方総監部が中心となった組織ですが、その”よこすか海軍カレー”の認定一号店が、今は閉店してしまった「よこすか海軍カレー館」でした。
名前もまさにそのままだったという人気店は、魚藍亭(ぎょらんてい)という活魚料理店が経営していたお店だったようで、
カレーを出すにあたり、海軍割烹料理のレシピなども参考とされたようです(参考:2018年3月18日付神奈川新聞)。
お店の前には”カレーと海軍”の説明があって、
かつて軍隊食として日本に持ち込まれた”イギリスのカレー”が、日本では帝国海軍の艦艇での食事に採用されると同時に家庭料理として定着していった様子などが簡潔にまとめられ、
メニューも外に出されていました。
店内に入るとウェイティングルームもどこか軍艦風で、
奥の部屋に入ると、軍艦の中の一室風にコーディネートされています。
メニューと、
海軍カレーです(サラダを一口食べてから、写真を撮っていないことに気が付きました)。
美味しいカレーに「海軍カレー」認定一号店というステータスが合わさったことから、当然のようにお店も人気店だったのですが、残念ながら施設の老朽化を理由として、2017年、惜しまれつつの閉店となりました。
しかし、そこは知名度全国区の人気店のなせる業。
その約半年後、京急横須賀中央駅傍”若松マーケット“内に、
元祖海軍カレーのお店が「魚藍亭(ぎょらんてい)」として復活を果たしています。