各施設の特徴
ライブハウスとコンサートホール
以下、まずはライブハウスとコンサートホールの違いについてまとめました。
参考
ライブハウス/コンサートホール
個人的な認識としては、強いて言うなら双方の一番の違いはステージ前の客席に椅子が常設されているかどうかの違いにあります。
椅子が常設されていないのがライブハウス、椅子が常設されているのがコンサートホールですね。
- ステージ前に椅子無し:ライブハウス
- ステージ前に椅子常設:コンサートホール
「椅子の有無」という観点からは、ライブハウスでは立ち見(スタンディング)が基本、コンサートホールでは座って鑑賞が基本となって来ますが、ライブハウスでも椅子・テーブル付きのスペースが用意されている場合がありますし、”コンサートホール”でも立見席が作られる場合があるので、「立つ」「座る」で区分できるかと言えば、一概には言えない部分がないわけではありません。
ライブハウス・コンサートホール双方の共通点としては“演奏可能な施設である”点が挙げられますが、収容人数(以下、キャパ)では、一般的にはコンサートホールの方が勝っていることが多く、どこまでが小規模でどこからが中規模になるのかというと、概ね「キャパ100人」が一つのラインとなるのが一般的な見方ではないかと思います(後述)。
- キャパ100人以下:小規模会場(ライブハウスが多い)
- キャパ100人以上:中規模会場(コンサートホールが多い)
ざっくりステレオタイプで判断すると、こんな感じになると思います。
何故に「個人的な認識」「一般的な見方」「思います」「ステレオタイプ」「ないわけでもない」「あるにはある」になるのかといえば、取り立てて厳密な定義が要求されるような場面でも無いことから、しばしば人により立場によって見方がまちまちになるためです。
「これがガチの正解だ」というような見方が流布しているというよりは、「なんとなくこんな感じで呼び分けられることが多い」状態にあるということですね。
以上のことから、日常会話で双方の区別をする必要がある場合は、そこ(基本的には椅子の有無、場合によっては会場規模も追加)を基準に呼び分けたりしますが、このほか決定的な部分として、そのイベントが”ライブ”を謳っていれば会場はライブハウスとなり、”コンサート”を謳っていればコンサートホールとなる(?)、みたいな性格もあるにはあります。
厳密な定義云々ではなく、そう捉えたほうが気分が上がることからことから来るものですね。
海外ミュージシャンによるコンサートホールでの公演にその典型があるほか、その昔BOØWY時代の氷室京介さんは、日本武道館での公演中に「ライブハウス武道館へようこそ!」という名言を残していたりもします。
この点、およそロックに区分される系統の音楽イベントのほか、インディーズ(coolJapanで言うところの同人の世界ですね)界隈、ジャズ・フュージョンイベント等の場合”ライブ”と言う表現を好む傾向があるように感じますが、反対にクラシック界隈では”ライブ”と言う表現はあまり好まれず、コンサートや演奏会といった言い回しになることが多いように感じます。
結論として、気分や感覚での捉え方を正解とする、ざっくりの理解で進めた方が粋なところでもあるのでしょう。
クラブ(音楽)
ライブハウスとぱっと見似たような施設に“クラブ”があります。
訪問客にとっての双方の主な違いは、“演奏を見に行くのか”(ライブハウス)、それとも“音楽を聴きに行くのか(クラブ。ついでに体を動かすことも出来ます)”といったあたりにありますが、要は「鑑賞型」のイベントを主に取り扱う施設なのか(ライブハウス)、それとも「参加型」のイベントを主に取り扱う施設なのか(クラブ)という違いですね。
ライブハウスで楽しむ音楽は基本的にコンサートホールで楽しむ音楽と同種の性格を持っていて、“演者”のステージを鑑賞しに行くことが主目的となりますが、クラブの場合は特定のジャンルの音楽(ハウスやヒップホップの他、レゲエ、ラップなど)をかけ続けてくれるDJの音楽を皆で楽しむ(お酒を飲みながら音楽を聴いたり、体を動かしたりする)、というような違いが出てきます。
ただここについても「鑑賞」「参加」で割り切れるかというと、ライブハウスのイベントにも(鑑賞の態様やイベントのあり方によっては)「参加」要素が出てきますし、クラブのイベントにも「鑑賞」要素は存在します(例えば選ばれたチーム・個人によるダンスイベントなど)。
完璧に「これだ」と割り切れるものではないようにも思えますが、それでも強いていうならそういうことになるという判断基準が、「鑑賞型」か、それとも「参加型」かというものです。
それぞれのキャパ
ライブハウス/クラブ
ライブハウス・クラブの二者に関しては、一般的な会場規模の捉え方はほぼ似たようなものとなっています。
- キャパ100人未満:小規模
- 100人以上1000人未満くらい:中規模(~大規模)
- それ以上:大規模(or特大)
ライブハウス(クラブ)のことを”箱”と呼んだり、大規模ライブハウス(クラブ)のことを”大箱”と呼んだりすることもありますが、例えばキャパ100人程度の箱が小規模かといえば一概にそうとも言い切れないでしょうし、大箱か否かの線引きが常に”キャパ1000人”のラインにあるのかといえば、これもまた一概にそうとも言い切れないように思えたりもします。
例えばキャパ900人のライブハウスが大箱に満たないか否かは個人的な捉え方の問題になってくるでしょうし、反対にキャパ2000人以上のライブハウスもボチボチ出てきている昨今、大・中の線引きがそれでもキャパ1000人のラインのままでいいのかみたいな捉え方も、ないわけではないでしょうからね。
厳密な区分が存在するというよりは、ざっくり呼び分けられているところではないかと思います。
コンサートホール
一方、コンサートホールの方はどうかというと、”ライブハウス基準”だと中規模以上の会場(キャパ100人~)がメインとなって来ます。
最小のコンサートホールのキャパが大体100~200人位、一般的なコンサートホールになるとキャパ1000~2000人クラスから数千人、あるいは1万人の手前位の規模(国内最大で8000人 ※)となるので、これまたすごくざっくり基準ですが、「コンサートホールで単独イベント開催できる時点で大物」みたいなところはあることが多いです。
参考
コンサートホールを上回る大規模会場
ドーム球場や屋根なし球場、あるいはサッカーのスタジアムや地方の多目的広場など、元々は別の目的をもって使われている施設を代替利用しているというケースが目立ちます。
キャパは万単位で、国内最大のふもとっぱら(キャンプ場)がなんと約10万人、日産スタジアムが約7万人、東京ドーム、京セラドームがそれぞれ約5万人です。
参考
イベントホール(コンベンションホール)
一般的なイベントや展示会、勉強会、発表会や会議等々、学術的なものから商業目的関係イベントに至るまで、およそイベント全般向けに作られた施設が“イベントホール”(コンベンションホール、コンベンションセンター等々)と総称されます。
ただし、ここにも曖昧なところがあって、前記したライブハウス等々との間に、特に明確な線引きがあるわけでは必ずしもありません。
クラブだけどイベントホールとしても使える、コンサート会場として有名なんだけどイベントホールとしても使える、そのほかにイベントホールとしてのみ使われていますという会場もありますというように、専門で使われている施設がある傍らで、多目的を一つの施設で兼ねている場合が結構あるんですね。
昨今の流行の形としては、いわゆる”MICE”施設があります(みなとみらい線沿線にある、パシフィコ横浜など)。
- Meeting(=会議)
- Incentive Travel(=研修旅行)
- Convention(=国際会議)
- Exhibition/Event(=展示会等各種イベント)
このそれぞれの用途に適うように設計されている複合型施設だということで、頭文字とをって”MICE”(マイス)と呼ばれます。
参考