箱根登山鉄道と秋の箱根
“箱根旧街道・1号線きっぷ”から”箱根フリーパス”へ
今回の七福神巡りで使った”箱根旧街道・1号線きっぷ“は、箱根登山バス(公式サイト)だけではなく、箱根登山鉄道にも乗車できてしまうというスグレモノ切符だったのですが、残念ながら2021年9月一杯で発売が終了となってしまいました。
現在、後継チケットには”箱根フリーパス“(箱根ナビ “箱根フリーパス“)が用意されています。
ただし七福神巡り時には旧街道・1号線きっぷがまだギリギリ生きていたことから、その最後の利用機会となりました。
箱根を取り巻く公共交通網
小田原から早雲山まで通された箱根登山電車・ケーブルカー(公式サイト)では、それぞれ小田原・強羅間が箱根登山電車区間、強羅・早雲山間が箱根登山ケーブルカー区間となっています。
とはいえ、電車区間・ケーブルカー区間共、“箱根登山鉄道”株式会社(箱根登山電車公式サイト “路線図“)が管轄しているので、この区間にバス区間を併せると、箱根湯本から大涌谷・芦ノ湖界隈までのほぼ全域が箱根登山電車・ケーブルカー・バスで網羅できてしまいます。
“箱根旅ではお得きっぷがマスト”の所以ですね。
“七福神巡り”の出先だった小涌谷界隈からこの日の宿である箱根レイクホテル(公式サイト)前に戻るには、一旦箱根湯本に出た上で箱根登山バス(桃源台線)を利用することが必要だったことから、まずは小涌谷から箱根湯本まで箱根登山電車を利用することにしました。
箱根登山電車乗車
小涌谷駅構内
今回の箱根詣での直前には、
「つい最近(2020年7月23日)、箱根登山電車が昨年2019年10月の台風19号被災からようやく全線復旧した(箱根町公式サイト “令和元年台風第 19 号災害対応報告書“)」
というニュースも見ていたので、登山鉄道に乗車することそれ自体も楽しみの一つでした。
ということで、箱根登山バス箱根町線・小涌谷駅前バス停下車後、早速小涌谷駅の構内へ。
小涌谷駅は、”箱根のど真ん中”に位置する駅の一つです。
“スイッチバック運転”と箱根登山電車
小涌谷駅では、まずは隣のホームに電車が入線しました。
思いきり大きく作られた窓やシースルーのドアが印象的な、新型の3100形車両(箱根登山電車公式サイト ”車両紹介 3100形”)です。
ほどなく入線した箱根湯本行きの電車は、3100形のやや先輩にあたる、というよりはベテラン選手にあたる2000形車両(箱根登山電車公式サイト ”車両紹介 2000形”)です。
小涌谷駅で新旧2車両がご対面となった形ですが、箱根登山電車は単線区間を持っている上”スイッチバック運転”をしているので、運行上駅での待ち合わせが多い他、駅以外で電車が停車することがあるのも特徴です。
ちなみにスイッチバック運転とは“電車の進行方向を転換する”運転のことです。
一時停止後に反対方向に向けて走り出す”ジグザグ走行だ”というとイメージしやすいでしょうか。
スイッチバックするための停車ポイントのことを“スイッチバックポイント”と言いますが、箱根登山電車では、全線に3か所のスイッチバックポイントが用意されています(参考:箱根登山電車公式サイト “箱根登山電車の特徴“)。
スイッチバック時にはそれまでの先頭車両が最後尾の車両となるため、運転手さんと車掌さんは「運転室が車掌室へ、車掌室が運転室へ」という形でそれぞれのポジションを入れ替える必要が生じるのですが、中々忙しいことになっていますよね。
箱根の山で電車を開通させるためには線路をそのように通さざるを得なかった、つまりは平地と同じ要領での敷設が困難だったということで、全ては急峻な山野部に電車を通しているためという事情に依っています。
“登山電車”の沿線風景
今回の乗車時には、現在箱根登山電車に一編成だけ残された”旧式の1形電車”(箱根登山電車公式サイト “車両紹介 1形電車“とのすれ違いもありました。
パッと見で「箱根を走ってる電車だ!」とわかるのではないかという、あの電車ですね。
ところどころで他電車とすれ違いながら、電車は淡々と箱根湯本を目指して進みますが、線路は山の斜面に沿って敷かれているため、周辺風景は山だらけです。
とにかく山を上り、あるいは下ることから、乗っていて実に気分爽快ではあるのですが、その反面。
ここに電車を通すにあたっての、想像を絶するような先人の苦労が偲ばれるところでもありますね。
箱根登山電車沿線でも屈指の難工事が要求されたといわれ、現在は国の有形文化財(文化遺産オンライン “箱根登山鉄道早川橋梁“)にも指定されているという、“出山の鉄橋”(神奈川県公式サイト “出山の鉄橋“)こと早川橋梁は、沿線屈指の見どころです。
“出山の鉄橋”通過後、ほどなくして電車は箱根湯本駅に到着しました。
箱根登山バスへ
箱根湯本駅からは、宿泊地である箱根レイクホテルを目指し、この日最後の路線バスである箱根登山バス・桃源台線乗車となりました。
フロントガラスの向こうの景色から伝わるように、箱根のススキはまさに今が見ごろの季節です。
バス乗車時の車窓からの風景も、中々にドラマチックなものでした。