この記事を読むのに必要な時間は約 5 分21秒です。
【青春18きっぷの旅/初日】中央本線・塩尻から奈良井まで
塩尻で食事休憩
いつもの横浜駅からスタートした青春18きっぷ旅。
沿線風景に大満足だったこともあって、高尾から先は本当にあっというまという感じだったのですが、
お昼過ぎ、乗り換え兼昼食休憩を予定していた塩尻駅に到着しました。
下車後の空気がたまらなく心地よかったことも覚えています。
改札を出てすぐ、昼食を予定していた駅すぐ傍にあるレストラン”ほっとしてざわ(食べログ)”に向かい、
食べログでもイチ押しされていた”山賊焼き”定食を頂きました。
山賊焼きとは鳥のもも肉を使った長野の郷土料理ですが、炭火焼きだったり照り焼きだったり、油淋鶏のようにタレをかけて仕上げたり、色々な調理法があるようです。
「ほっとしてざわ」では唐揚げ風の山賊焼きを楽しむことが出来ましたが、これが本当においしかったです。
山賊焼き以外にもいろいろなメニューがあって、馬刺しなども食べられるようですが、
この日の昼食のもう一品には、品切れだった鮎の塩焼きの代わりにヤマメの塩焼きを頂きました。
概して鮎より美味いといわれている川魚のヤマメ、本当においしかったです。
お店の中はレトロな感じで、
テーブル上にしても、お店の雰囲気にぴったり合っています。
クーラーの効いた店内で、テーブルごとに扇子が置いてあるのは中々親切じゃないでしょうかということと、あとは写真の左側ですね。
昭和の末期って、ちょっといい感じのレストランに行くと、ほぼ必ずといっていいくらいこの機械(ルーレットおみくじ器というらしいです)が置いてあった時期があった記憶があります(もっと前からあったのかもしれませんが)。
“ほっとしてざわ”での昼食時には、逆に「そういえばこれ、いつの間になくなったんだろう」なんてことを思わされたりもしたのですが、そのくらい店内のレトロ感が自然だったということで、お店の雰囲気もいい感じに落ち着いていました。
ごはんがおいしかったこと、お店の雰囲気が自然なレトロ感を持っていたこと以外にも、店員さんがすごく親切なお店だったので、また塩尻に寄った際にはぜひ食べに行こうなどと思いつつ、お店を後にしました。
塩尻驛
この日の目的地である奈良井にしてもそうですが、中央本線沿線に位置する塩尻もまた、旧中山道沿いの宿場町を多く持つエリアです(塩尻市観光ガイド “街道・宿場町“参照)。
旧街道があり宿場町があったということは、近代以降もその地が交通の要衝になりやすい条件を持っていたということを意味していますが、
昼食後の散策で、「駅」が旧字体で「塩尻驛」と書いてある、ちょっと渋めの表札を見つけました。
中央線・塩尻驛は、JRや国鉄、鉄道省等の前身である鉄道院の管轄下、表札にある通り明治35年(1902年)12月15日に開業しました。
同年に時の日本が置かれていた状況としては、日清戦争(明治27年~28年=1894年~1895年)と日露戦争(明治37年~明治38年=1904年~1905年)の間の時期にあっての、ターニングポイントとなった年にあたります。
「英と結ぶか露と結ぶか」という二択を前にして日英同盟が締結された年であり、後に帝国海軍が歴史的な勝利を収めた日本海海戦の旗艦となる、イギリス製の戦艦三笠(“世界三大記念艦 三笠”公式サイト)の竣工年でもある年が、明治35年だったんですね。
ちなみに日英同盟の締結が1月、三笠の竣工は3月です。
日英同盟締結と三笠の完成によって、あとは事実上対露開戦のタイミングを待つばかりとなったという、戦間期というよりは日露戦争開戦前夜となった年だという方がぴったりくるでしょうか。
そんな激動年の年の瀬に、ここ塩尻には塩尻驛が誕生しました。
新橋・横浜間に日本初の鉄道が開通(明治5年=1872年9月)した、その約30年後のことです。
塩尻から先へ
JR東海エリアへ
駅の表札を撮り、駅前上空に広がっていた夏の空を見上げた後は、
少し早めに駅構内へ戻りました。
次の行程は、JR東海の中央本線・木曽福島行きの電車への乗車です。
早速次の電車を目指してホームへ向かうと、
道中の行先案内には松本、長野、中津川、名古屋とあります。
松本! 長野! それに名古屋!
早くもここまで来ちゃいましたというような気分、新幹線を使っていればこうはならなかったのでしょうが、こういう感動というか感慨も、18きっぷ旅ならでは。
同じ中央本線でもこの先はJR東日本ではなくJR東海の管轄で、駅名に「木曾」が付くエリアに入るという。
気分は完全に”18きっぷ旅モード”です。
例えば中央本線沿いのある区間には、中日スポーツのかなり大きい広告が出ていたりもしたのですが、そういうご当地感も中々たまらなかったです。
日常風景の些細だけど大きな違いがさらっと伝わってくるあたりも、やはりローカル線旅のたまらない魅力なのですが、特急その他の旅と違って「今は旅行中ですよ!」という垣根が低い分、伝わってくるものも多くなるという感じでしょうか。
日曜日とはいえ昼間のこの時間帯にしては人が少ないな、なんて清々しい気分になったことを覚えていますが、慣れって恐ろしいもので、やがてこの状態が普通だと感じるようになっていきます。
中央本線沿いの風景
塩尻駅を発車した中央本線は再び山間部へ。
緑の中をひた走っていくローカル線の旅、再開です。
塩尻ー奈良井の丁度中間にあたる、中央本線・贄川駅です。
駅のホームすぐ傍まで緑が迫っていますが、
自然に囲まれた、絵になるロケーションだと感じると同時に、背後に山を控えたこの近さには色々と想像も働いてしまいます。
具体的には、夜間電車を待っていたらツキノワグマとご対面しそうな怖さがあるように感じてしまうということなのですが、昼間、それも夏の晴天時であれば、駅にいる分には恐らく安泰でしょう。
ということで、ただひたすら爽やかな風景として、車窓に映えていました。
中央本線・奈良井駅
贄川から2駅目、塩尻からだと5駅目にあたるのが、この日の目的地・奈良井駅です。
今回の旅のそもそもは、この奈良井駅傍で保存されている旧中山道の宿場町、奈良井宿を知ったことから始まりました。
駅ホームには「中山道 奈良井宿」の駅名標がありました。
走り去っていく電車を撮影しようと待っていても電車が中々発車しないので、
諦めて電車入りの駅ホームと周辺風景を撮ってみると、これが中々いいじゃないですか。
レトロな待合室もホームの雰囲気を作ることに一役二役買ってます。
その後改札で18きっぷを見せて駅舎を出ると、奈良井宿は左側に見えてきます。
18きっぷの旅、最初の半日経過を待たずにすっかり気分は旅モードになってしまいましたが、駅舎の向こう側からは、いよいよ「18きっぷ旅」本編に突入です。
(続く)
アクセス
塩尻駅