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【開港都市・神戸の風景】”KIITO”と旧・生糸検査所

神戸

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デザイン都市の拠点”KIITO”内のギャラリー

“KIITO”とギャラリー

外観とロケーション

神戸港傍に位置するKIITO(公式サイト)は、旧生糸検査所を再利用した施設です。

神戸の生糸検査所は1927年(昭和2年)に竣工し、1927~45年の間にかけて稼働しました。

戦後はGHQに接収された(1945年~52年)後に農水省の施設として利用され、その後曲折あった後、現在の”KIITO”となっています。

ちなみに”KIITO”は愛称で、正式名称は”デザイン・クリエイティブセンター神戸”です。

すぐ傍には神戸税関も控えていますが、”海沿い”かつ”税関傍”というロケーションから伝わるのは、やはり”かつて”の(主力産品である”生糸”のために作られたという)用途ですね。

参考:KIITO “デザイン・クリエイティブセンター神戸について

神戸港の海沿いに通された”港のプロムナード”沿いの建物でもありますが、生糸といえばかつての日本の主力産業であり、現在も富岡や横浜等、神戸以外の各地にも生糸生産や生糸貿易の跡が遺されています。

参考:生糸貿易について生糸検査所について富岡製糸場

外側から建物を見ている分には、”デザイン”や”クリエイティブ”といった言葉から伝わるオシャレさを感じさせるというよりは、生糸生産や生糸貿易が為した財産の規模を感じさせる、どこか威厳に満ちた雰囲気を醸していますが、現在の”KIITO”は”神戸らしさ”をデザインの観点から見つめ直していこうとする取り組みである”デザイン都市・神戸”(神戸市公式サイト “デザイン都市神戸“)の拠点とされている施設です。

ということで、建物に近寄ると、ぱっと見からもボチボチオシャレな改装具合が伝わり始めます。

例えば、歩道に作られた”車寄せ”のような屋根や、その屋根に付された”KIITO”のデザイン文字などですね。

実際、建物自体が神戸市によって”景観形成重要建築物”に指定されている他、2016年(平成28年)には、東大本郷キャンパスの安田講堂などと並んで、公益社団法人ロングライフビル推進協会(公式サイト)が設けたBELCA賞(ベストリフォーム部門)を受賞しています。

参考:公益社団法人ロングライフビル推進協会 “BELCA賞

BELCA賞は”長期にわたって適切な維持保全をしたり、優れた改修を実施した既存の建築物”のうち、特に優秀なものが表彰されるという賞(公式サイトより)で、平成12年にはすぐ傍に位置する神戸税関も受賞しているようです(ほか、平成15年の横浜赤レンガ倉庫、平成17年の旧第四銀行住吉町支店、同年の横浜郵政ビルなど)。

つまりは、専門家の”お墨付き”を得た建物だということですね。

“KIITO”内部へ

建物に一歩足を踏み入れると、割と外観から連想させるイメージそのままに近い空間が残されていることがわかるのですが、それのみにあらず、”かつて”が残された状態をベースとして細部が今風にリフォームされています。

エレベーターのフロア表示には特にそのあたりのことを強く感じたのですが、歴史が醸す風格の上に、”オシャレ”が乗っている感じですね。

建物内部に残された雰囲気からは、”居ぬき”状態を自然に引き継いでいるようにも伝わって来ます。

この点、今からおよそ100年ほど前(1927年)に”100年先にも通用するビルが建てられたのだ“ということを意味するポイントでもありますが、今の世の中にそれが可能となるビルが果たしてどれだけあるのかと考えたら、単純な流行廃れはやりすたれ以外にも設備の機能性や”残された空間”の利用用途の間口など、当然のことながらただ建築技術のみでは語れないところとなって来ます。

当り前のことではありますが、オシャレ云々以前に”今でも現役であること”自体がすごいことだったりはするんですよね。

生糸ギャラリー

“生糸検査所ギャラリー”は、KIITO内二階です。同じフロアにはメインと思しき神戸市立三宮図書館も置かれていますが、ギャラリーのスペースにも結構な広さが用意されています。

ギャラリー入り口付近からの室内全景です。室内中央部には旧生糸検査所時代からのものだと思われる大きな柱があって、その周囲にはかつて製糸に用いられていた道具が陳列されている他、資料の展示や、製糸にまつわる歴史的な背景の説明書きなどが置かれています。

まずは貿易港ありきということで、開国と同時に開かれた神戸港の歴史が、

生糸検査所の歴史と共に説明され、

その詳細(生糸検査所在りし日の神戸の事情から、現在の”KIITO”へ)へと繋がって行きます。

実際に使われていた機械(生糸の品質保持のために使われる再繰さいそう切断機)の展示は、ギャラリーのメインの一つですが、

このほか、資料やデータの展示も行われています。

“ギャラリー”自体はあくまで”KIITO”内の施設の一つであり、建物自体には”デザイン・クリエイティブセンター神戸”のための施設であるということを感じさせる部分も多々あるのですが、生糸検査所ギャラリーにもかなりの力が入れられているので、”ギャラリー見学”のみで入館したとしても、満足度はそれなりに高くなることが期待できます。

ロケーション(KIITO内、生糸検査所ギャラリー)

KIITO開館時間/休館日等:9時-21時開館、月曜・年末年始休館、入場無料

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