夏休みと、普通列車の旅
青春18きっぷの旅・スタート
about 青春18きっぷ
青春18きっぷは、例年春・夏・冬の特定期間内にJRグループで発売される、5枚つづりで12050円のチケットです(2019年の夏は発売期間が7月1日-8月31日、利用期間が7月20日-9月10日)。
一枚につき一日(最大5日)、もしくは一人(最大5人)という計算で、JR各車の普通電車(他、一部快速電車や一部三セク鉄道等)が乗り放題となります。
この価格設定を高いと見るか安いと見るか、さらには”普通列車乗り放題”にどこまでの魅力を感じるか。
やはりそのあたりは人それぞれ、ケースバイケースになってくると思いますが、一人で五日、あるいは五人で一日、果てしなく普通列車に乗車できてしまうというチケットは、旧国鉄時代(ほぼ国鉄解体前夜ともいえる、昭和57年)に”青春18のびのびきっぷ”として発売が始まって以来、主に”乗り鉄旅”好きな層に根強い人気を誇り続けて今日に至ります。
現実問題として、今のJRでこういう切符が通常のイベント同様に企画できるのかどうかわかりませんが、のっけから対象が全国とされている、そこはかとなく”国鉄の遺産”を感じさせるというスケールも、もちろん人気の所以です。
切符にまつわる諸般の事情が時に(利用者にとっての)様々な思いを交錯させつつ、やがてきっぷの発売自体が”風物詩”の一端を担うようになっていったという、旧国鉄/現JRにとってかれこれ40年モノのロングセラーですが、ちなみに今夏の”18きっぷ旅”は、昨年夏のドライブ旅(小旅行ドライブto新潟)実行時に決めていたことでもあったという、”人生はじめての18きっぷ旅”でもありました。
参考
2019年夏・上信越青春18きっぷの旅、初日スタート
旅のスタートは市内随一かつ県下随一のターミナル駅・JR横浜駅の改札で、初日の行程は、
- 横浜から湘南新宿ラインで新宿へ
- 新宿からは中央線で高尾へ
- 高尾から先は中央本線で奈良井駅へ
というルートです。
まずは普通列車の旅・最初の目的地として、旧中山道の宿場町を目指すことにしました。
横浜駅ー新宿駅ー高尾駅(JR湘南新宿ライン、JR中央線)
“横浜市内に在住しながら、通勤あるいは通学先を都内に持つ”という、いわゆる”横浜都民”だった時期を持つ人間にとっては、残念ながら都心へ向かう電車、都心を起点とする電車には新鮮味の欠片も宿りません(という気持ちになることが多いと思います)。
旅行開始早々にして、むしろ旅のはじまりとは真逆の気持ちにさせられてしまいかねないところではあるのですが、”日本全国普通列車乗り放題の旅”では、いずれどこかでそのような気分が切り替わる瞬間が確実に訪れます。
ちなみに今回の旅行では、中央線・高尾駅到着時がまさに”スイッチオン”の瞬間となりました。
横浜から新宿までは湘南新宿ライン一本、新宿から高尾までは中央線一本なので、横浜から高尾までの乗り換えは一回で済みますが、乗車時間は約1時間半です。
“高尾まで”と”高尾から”をそのままひと繋ぎに出来るか否かといえば、さてどうでしょうか。
一息つきたくなってくる、気持ちを改めたくなるポイントにはなりそうですね。
ということで、計画時にも恐らくはそのあたりから旅気分が強くなって来るだろうと思えたところだったのですが、当日もその期待通り、高尾駅到着以降に”18きっぷ旅”気分が始まることとなりました。
この点、エンジンをかけたその瞬間がそのまま旅のはじまりに繋がってくれる(ことが多い)というドライブ旅と違って、”旅気分”の訪れが時間差でやってくるというあたりは、これはこれとしてまさに”18きっぷならでは”なところですね。
参考
高尾から中央本線で塩尻まで -18きっぷ旅のはじまり-
中央本線乗車
「単にいつもの生活圏内を移動しているだけ」という行程イメージが自分の中からハッキリ消えて行ったのは、JR高尾駅にて。この日二度目の乗り換えをした時のことでした。
きっかけは割と些細なことだったのですが、「とりあえず、結構遠くまで来たな」なんて気分になり始めた時に乗車した中央本線で、地方を走る電車によくある”ボタンで開けるタイプのドア”を見かけたことでした 笑。
この時点で、横浜駅の改札に入って以降の延べ時間では、既に1時間半以上が経過しています。
そのことももちろん旅気分を後押ししてくれた要因ではありますが、夏の高尾駅の雰囲気とも相まって、見る見るうちに”18きっぷ旅”の世界に引き込まれていくことになりました。
甲府盆地へ -勝沼ぶどう郷駅など-
下りの中央本線では、高尾駅の三つ先にあたる上野原駅から山梨県に入りますが、
常に緑が見えていて、山が近くなったり遠くなったりという車窓からの風景は、まさに期待通りのものです。
目的地がある以上、気持ちが急く部分もないわけではないのですが、それよりはこの雰囲気の中をゆっくり走ってもらいたいという気持ちが強くなっていく沿線風景の中、中央本線は甲府盆地へ。
“電車に乗るだけ”エリアではあったものの、18きっぷ旅では乗車自体も旅の一部ですということで、いよいよ旅本番エリアに突入です。
下り中央本線が甲府盆地エリアに入って最初に停車する駅である”勝沼ぶどう郷駅”は、ぶどうや桃、さらにはぶどうから作られるワインの産地である勝沼にある駅です。
ぶどうの丘をはじめ、駅周辺が都心発のバスツアーの人気スポットにもなっているところで、駅自体も”関東の駅百選”に選定されています。周辺環境もさることながら、駅名自体に観光地感が満載だという時点で、素通りするのが惜しくなって来る駅でもありますね。
結構空いていたお昼ごろの中央本線、それでもぼちぼち乗っていた人たちがほぼ一斉に降りていったのがこの勝沼ぶどう郷駅で、ここから先の車内はほぼガラガラになりました。
この日最後の乗換駅・中央本線塩尻駅へ
ということで、勝沼ぶどう郷駅より先も、
中央本線は緑に囲まれた甲府盆地の中をひたすら走っていくのですが、
盆地を走っているので、どの方角を見ても山が見えます。まさに”やまあり、やまなし”ですね。
中央本線は山梨県を通過した後長野県に入りますが、長野県を北上する際には、諏訪湖畔を通過します。
残念ながら車窓からの風景をうまく写真に収めることは出来なかったのですが、上諏訪ー下諏訪ー岡谷にかけて諏訪湖のほとりを抜けた後、初日の宿泊地である奈良井へ向かうための乗り換え駅である塩尻駅に到着。
“旅スイッチ”の入った高尾駅からこの日最後の乗り換え駅となる塩尻駅まで、およそ二時間半の行程でした。
参考