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【冬の終わりの札幌へ その8】中島公園・豊平館
about 豊平(ほうへい)館
中島公園(公式サイト)内にある西洋館・豊平館(公式サイト)は、かつて開拓使が建てた洋風のホテルです。
1880(明治13)年の竣工時には現在の札幌市時計台すぐ隣の区画(中央区北一条西一丁目)、さっぽろ創世スクエア(公式サイト)があるあたりに建っていたものが、昭和33年=1958年に中島公園内の現在地に移築されました。
余談として、当時の豊平館の前庭は大きく前に張り出していたことから、豊平館の敷地自体は現在の大通公園の辺りにまでかかっていたようです(参考:大通公園公式サイト “豊平館の誕生“)。
戦前のホテル時代はしばしば天皇陛下の行在所ともなったようですが、時計台と共に旧帝国陸軍に軍事利用された戦中、および占領軍に接収された終戦直後の混乱期を経て、中島公園移転後の昭和30年代(昭和36年=1961年)には札幌市の有形文化財に、さらには国の重要文化財に指定(昭和39年=1964年)されるに至りました。
現在、豊平館への入館には入館料がかかります(一般300円、中学生以下無料)。
豊平館・館内へ
外観
館内への入り口は、建物の向かって右側に位置しています。
建物の屋根の上には、
時計台にもあった開拓使のシンボルである、五稜星が輝いています。
館内へ
向かって右側にある入り口から入って受付を済ませ、先に進むとすぐのところには、
豊平館の歴史がまとめられたパネルが置かれています。
入館時に無料のパンフレットももらえますが、それ以外の展示も充実しているため、一見の観光客にも優しいのが豊平館館内の特徴です。
館内では、ホテルの構造の特徴や、見学時のポイントなどがまとめられているので(他、建築の概要や設計計画についての解説もあります)、かなり見て回りやすい部分があると思います。
ロビーから客室へ
館内に入ってすぐのところにあるロビーでは、天井にシャンデリアが吊るされていますが、
つるされているシャンデリアの上には、”天井中心飾り”があるのがわかります。
“こて絵“と呼ばれる技術を用いて作られた飾りは、館内の見どころの一つとしてあげられています。
このロビーから、数字ではなく花や植物の名前で区別された(ツバキ、ユリ、タケ、ススキ等々)一階・二階の各部屋へと繋がっていくのですが、
階段横や各部屋にはそれぞれ、ここも「館内の見どころ」として指摘されていたポイントである、かつてホテルだった頃の豊平館で使われていた西陣織のカーテンが再現され、かけられています。
それと説明してもらわなければなんとなく見過ごしてしまいそうなポイントではあるのですが、そう説明してもらえると改めて、ホテル時代の格調高さが伝わってくるように感じますね。
その昔結婚式場として使われていたころの名残りが表現された部屋もありますが、ここにもやはり西陣織を模したカーテンがかけられていました。
一般客室
階段を上って二階へ上ると、部屋がいくつかあるのですが、
そのうちの一室では、かつての寝室が再現されています。
明治初期の頃は、まだまだ洋風の生活様式自体に斬新さがあった頃じゃないかと思うのですが、
当時の豊平館では、既に洋室として整備された客室が宿泊客に提供されていたことが分かります。
天皇陛下行在所
二階のまた別の一室では、かつて天皇陛下が宿泊された部屋が、宿泊された時の様子を再現して保存されています。
部屋の内部を伺うことが出来る他、
実際に使われた椅子なども展示されています。
広間
このほか二階の広間では、天井からシャンデリアが吊るされている他、
広いスペースにグランドピアノが置かれていて、今の感覚で見ても結構な広さを持つ部屋だということがわかるのですが、
この部屋には、タブレットによるガイドが導入されています。
豊平館のタブレットにはVRっぽい遊び心が加えられていて、タブレットを通して部屋を見ると、その昔の舞踏会の様子が再現されます。
冬の終わりの中島公園
豊平館の内部から望める中島公園内の様子からも、
冬が終わり、春が近づいて来た様子が伝わってきます。
アクセス
中島公園内、やや地下鉄南北線・中島公園駅寄りのところ、菖蒲池の傍に位置しています。