”丘公園”南端の西洋館、山手111番館へ
about 山手111番館

about
山手111番館は、大正15(1926)年、アメリカ人・J.E.ラフィンさんの私邸として建築されました。
“111番館”の命名は、山手町111番地に位置していたことに由来します。
“現・111番館”の元々の主であったJ.E.ラフィンさんは、父にあたるT.M.ラフィンさんが日本に渡航したことによって日本との縁が出来たという横浜生まれの方で、戦後はヨットクラブを育成・運営するなど、横浜の発展に尽力された方だったようです。
一方、J.E.ラフィンさんの父にあたるT.M.ラフィンさんは、港湾の荷役会社(コリアー社)の社員として日本でのキャリアをスタートし、後にヨットクラブの会長を務めた他、製氷会社や炭酸飲料の会社を興す、日本のヨットセール(ヨットの帆)制作黎明期の発展に尽力するなど精力的に活動されていた方で、現在は山手の外国人墓地に眠られています。
111番館建築の態様としては、白を基調とした建材、瓦屋根の利用、カーブが用いられた表玄関へのアプローチ等、“ラフィン邸”として建築された当時のアメリカの住宅の主流であった、スパニッシュスタイルによって表現されていることを特徴としています。
設計者は横浜山手ともなじみが深い、J.H.モーガンさん(後述)です。
J.E.ラフィンさんの依頼によって、”111番館”を設計する運びとなりました。
参考
- 山手111番館公式サイト
- Houzz 『スパニッシュリヴァイヴァルの9つの特徴』”
- 斎藤多喜夫『横浜外国人墓地に眠る人々』(有隣堂、平成24年7月20日)
- 横浜外国人墓地(山手本通り沿い、ブラフ99ガーデン隣、見尻坂傍)
ロケーション/施設情報
港の見える丘公園内では、噴水塔エリア(バスロータリー)やバラとカスケードの庭に隣接する形で、南端に位置しています。
山手111番館公式サイト 開館時間:9:30~17:00 休館日:第2水曜日(休日の場合は翌日)/年末年始(12/29~1/3) 入館料:無料 館内ガイド:二か月に一度、有料開催(1館30分程度、500円)。 詳細は公式サイト “館内特別ガイド“へ。 |
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大正15(1926)年 | アメリカ人経営者、J.E.ラフィンさんの私邸として竣工 |
平成8(1996)年 | 横浜市が敷地を取得 |
平成11(1999)年 | 山手111番館として一般公開開始 |
参考
about J.H. モーガン

山手111番館内では、山手111番館の設計者であり、横浜を中心として日本の近代建築に多くの業績を残したアメリカ人建築家・J.H.モーガンさんと奥さん(日本人)の写真、さらにモーガンさんの遺品が常設展示されています。
参考
- 横浜山手とJ.H.モーガン
- ベーリックホール公式サイト
- 【横浜山手の西洋館】ベーリックホール
- 横浜山手聖公会公式サイト
- 【山手本通り歩き】横浜山手聖公会
- 横浜外国人墓地公式サイト
- 横浜外国人墓地(山手本通り沿い、ブラフ99ガーデン隣、見尻坂傍)
山手111番館・館内
館内1階

山手111番館・館内に入ってすぐの空間は、高い天井が魅力的な吹き抜けのホールとなっていて、

入り口左側に用意された資料閲覧室では、他の西洋館同様、横浜関係のパンフレットなどが豊富に置かれています。

ホールに面した一番左側の扉はキッチンへ。

キッチンの窓からは、バスのロータリーの向こうに横浜市イギリス館が望めます。
西洋館の窓越しの風景は、どこかそれだけで絵になるものが多いですね。

正面中央の部屋は、食堂として使われていた部屋のようです。
大きな窓越しに望めるのは、バラとカスケードの庭です。

食堂右手にある山手111番館内ギャラリーは、有料でのレンタルが可能です。

開かれた扉の向こう側、通路左手には浴室があり、突き当りの位置は常設展示室です。
常設展示室では、山手111番館設計者・J.H.モーガンさん関係の展示がされています。
参考
- 山手111番館公式サイト “貸しスペース“
- 【横浜山手の西洋館】横浜市イギリス館
館内2階

山手111番館の2階は、現在館内ガイド(現在は、有料で定期的に実施されています)に合わせて公開されています。同じ山手の西洋館だとイタリア山庭園内の外交官の家にも同様の部屋がありますが、普段見れないスペースを見ることが出来る希少な機会なので、どちらもお勧めです。

やや急な階段を上って二階へ。
常時公開しているスペースを珍しい場所から見下ろす眺めは、中々新鮮です。

二階部分は回廊になっているのですが、ここが“普通の二階”ではなく回廊になっていることから、山手111番館の持つ個性であり魅力であるという、”高い天井”が実現する形となっています。
吹き抜けにせよ回廊にせよ、山手西洋館の中では”111番館ならでは”といったところですね。

バス通り側、公園側の隣接スペースにはそれぞれ部屋が作られていて、回廊の横には大きめの窓が作られています。

現在、バス通り側はリラックススペースに(長椅子は展示物で、使用不可です)、

公園側は会議室のような空間に整えられていますが、大きな窓からの眺めの良さは、全西洋館の中でも指折りです。
参考
- 山手西洋館公式サイト “館内特別ガイド“
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