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【街歩きと横浜史】三渓園・聴秋閣と二条城、春日局

三渓園と本牧エリア

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【街歩きと横浜史】三渓園・聴秋閣と二条城、春日局

 

江戸時代と二条城

三渓園公式サイト)・内苑地区に位置する国指定重要文化財・聴秋閣は、かつて京都の二条城内にあったといわれる、徳川幕府三代将軍・家光とその乳母である春日局縁の建造物です。

“春日局縁”とは、後水尾天皇の行幸後、行幸御殿の一部であった今の聴秋閣が春日局に下賜され、その後巡り巡って三渓園に移築されることになったという部分を指しているのですが、”聴秋閣に縁を持つ春日局が、三代将軍徳川家光の乳母だった”という部分には、実は摩訶不思議な人間模様が隠されています。

 

春日局と南光坊天海

斎藤利三の娘・お福と徳川家の縁

聴秋閣と縁を持つ徳川家光の乳母・春日局は、明智光秀に家臣として仕えた戦国武将・斎藤利三の娘で、幼名を”お福”と言いました。

明智光秀といえば、言わずと知れた本能寺の変で主君・織田信長に謀反を起こしたとして知られる人物で、”三日天下”と言われた約10日間の天下を取った後、山崎の戦にて、後の”太閤”羽柴秀吉に討たれてしまうというどこか儚いイメージを持つ戦国武将です。

いわゆる”三日天下”を儚いと捉えるか自業自得と捉えるかについては、戦国武将・明智光秀に対して、あるいは織田信長・豊臣秀吉の治世や人となりに対してどのようなイメージを持つかによって変わって来そうなところではありますが、史実としては山崎にて光秀を討った秀吉が一気に天下人へ近づいていき、最終的には関白(1585年)、太政大臣(1586年)から太閤(1591年、甥っ子の秀次が関白就任)へと昇り詰めました。

その秀吉亡き後に成立した徳川家康の江戸幕府にて、家康の孫である三代将軍・徳川家光の乳母に抜擢されたのが、かつての敗軍の将・明智光秀の家臣の娘、お福こと春日局です。

この点「かつて羽柴秀吉に討たれたのが明智光秀であり、豊臣家を滅亡に追い込んだのは他ならぬ徳川家康なのだ」と単純にとらえるのであれば、”敵の敵は味方”風につながりそうではあります。

実際、”織田政権”のくくりで捉えれば徳川家康・豊臣秀吉は同陣営ですが、豊臣家・徳川家の間に真の友好関係があったかどうかは微妙なところです。両家は元々対立の後に妥協から和睦している上、関ヶ原から大坂冬の陣・夏の陣へ至る一連の顛末を考えれば、徳川家の敵が豊臣家となっています。

そのため、「仮にそうなったとしてもおかしくはない」という程度には分からなくもない線があるにはあるのですが、基本的に徳川幕府は関ヶ原の戦いの勝敗によって土台が築かれた政権です。いきなり徳川家と明智家・斎藤家の関係を思わせるような抜擢が出てくること自体に不自然さが宿っているため、何か前々からの因縁があったのではないだろうかとの憶測が働く余地のあるところで、この人事には単なる奇遇を超えた”必然”か、そうでなければ天啓のようなものが潜んでいるようにも伝わります。

大坂夏の陣の後に天秀尼が救われたケースがあったように(参考:東慶寺と天下人の縁)、敵陣営にいる身内が”義理の縁”によって命を救われるという話であればともかく、かつて敵陣営にいたはずの敵方武将(春日局の父である斎藤利三は、明智光秀が討たれたとされる山崎の戦いの後、秀吉軍に捕縛され処刑されたといわれています)の縁者が、政権の安定と共に時を超えて取り立てられ、かつ大奥を幕府内の一大勢力として整えていくことになるという話は、やはり異例中の異例です。

 

春日局と南光坊天海

この”謎”としばしば同列に語られる話として、南光坊天海(なんこうぼうてんかい)という、天台宗の僧侶の存在があります。南光坊天海は、出生や生年、経歴についてはほぼ不明で、いつの間にか徳川家康のブレーンになっていて、かつ初期の政策に大きな影響を与えたという、謎の塊のような人物です。

単なる都市伝説なのか、それとも表向き認められていない史実なのか、その辺は神のみぞ知るところになってきますが、この南光坊天海こそが明智光秀その人であるという説があります。光秀は山崎の戦い後も生きながらえた、やがてそのことを知った家康との間に縁が出来、以降理想を共にする者同士として幕藩体制を固めていくこととなったのだというのが、明智光秀=南光坊天海説の主張です。

お福=春日局にまつわる謎も、光秀=天海説の文脈では「光秀がかつての家臣の優秀な娘=お福を知っていた。だからこそ光秀=天海の推挙に基づいて家康が重用し、お福は春日局としての実績を残すことになったのだ」という話としてすんなり腑に落ちてくるのですが、聴秋閣縁の春日局については、教科書が語る歴史の行間に何やら浪漫あふれる話が潜んでいたのだというような、そんな感じの話しですね。

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