横浜山手の”みなとが見える丘”歩き
about 港の見える丘公園
沿革
港の見える丘公園がある一画は、横浜開港とほぼ同時期に外国人居留地としてはじまりました。
元々それほど拓かれていたわけでもなかったという開港地傍の丘の上は、やがて輸出入額とも日本一となっていく”貿易港・横浜”の勢いにけん引される形で、半ばなし崩し的に居留地となることが決められると、以降は時勢に飲みこまれる形で発展が進みます。
“攘夷”が深刻な問題となっていた幕末・維新期には、居留民保護のためとして、丘の上にイギリス軍、丘の下にフランス軍が駐屯していたこともありましたが、両軍の駐屯解除後は、公園中心部(=現・イギリス山地区)にはイギリス総領事の公邸(現・横浜市イギリス館)が、傾斜部にはフランス領事館(現・フランス山地区の領事館跡)がそれぞれ設置されるなど、英仏それぞれの公用地として利用される時期が到来します。
“丘公園”内の”フランス””イギリス”を付した施設名は、いずれもそのような開港期以来の英仏両国との縁に由来しますが、開港地も横浜山手も復興が急務となった関東大震災後、1926年(大正15年)には、横浜にて港湾の荷役会社を経営していたアメリカ人、J.E.ラフィンさん(戦前・戦中の動乱期を経て、戦後はヨットクラブの育成・運営などで横浜の発展に尽力された方です)の私邸が現在の丘公園南端の一画に建築されました。
この建物が、現在の山手111番館です。
第二次世界大戦後、GHQが推進した占領統治政策によって、後の”丘公園”を含む横浜山手の一画も接収されてしまうのですが、接収解除後の昭和37(1962)年には風致公園として”港の見える丘公園”が開園し、以降横浜を代表する公園の仲間入りを果たしました。
さらに時は巡って昭和末・平成期となると、”みなとみらい21計画”を含む横浜再開発の流れの中で”丘公園”自体の整備も進み、現在の形へと近づいていきます。
関連年表
昭和37(1962)年 | 港の見える丘公園開園 |
昭和53(1978)年 | 大仏次郎記念館開館 |
昭和59(1984)年 | 神奈川近代文学館開館/フランス橋開通 |
昭和61(1986)年 | 霧笛橋開通 |
平成3(1991)年 | バラ園(現・イングリッシュ・ローズの庭)開園 |
平成11(1999)年 | 山手111番館一般公開開始 |
平成14(2002)年 | 横浜市イギリス館一般公開開始 |
平成28(2016)年 | “イングリッシュ・ローズの庭”リニューアルオープン |
参考
- 【街歩きと横浜史】近代横浜の始まり -開港場と周辺エリア-
- 【街歩きと横浜史】近代横浜の始まり -開港地での共存-
- 【横浜山手の坂道】陣屋坂(山手本通りからビヤザケ通り方面へ)
- 横浜市公式サイト “港の見える丘公園“、”山手111番館“、”横浜市イギリス館“
ロケーション/マップ/レンタル自転車etc
ロケーション | |
公園内マップ/開園情報 | 横浜市公式サイト “着色平面図“ 公園内は”フランス山地区“”展望広場地区“”イギリス山地区“”近代文学館地区“に四分されます。フランス山地区(夜間閉鎖)や西洋館、文学館(各館の開館時間に依っています。後述)等以外の公園施設は24時間開園しています。 |
最寄り駅/出口 | みなとみらい線・元町中華街駅(アメリカ山公園口/元町口) JR根岸線・石川町駅(元町口) |
最寄りバス停 | 港の見える丘公園前バス停(横浜市交通局/神奈中バス) (あかいくつ号/横浜市営バス20系統/神奈中バス11系統) 参考:沿線を走る観光バス、沿線を走る路線バス |
レンタル自転車ポート | フランス山地区入口付近にベイバイクのポートあり |
参考
- 港の見える丘公園(横浜市公式サイト)
- みなとみらい線 元町・中華街(山下公園)駅 -駅基本情報、ロケーション、交通案内-
- 【街歩きと横浜史】近代横浜の始まり -開港地での共存-
- JR根岸線 桜木町駅 -駅構内・出口案内-(馬車道駅最寄り駅)
- 【みなとみらい線沿線さんぽ】港の見える丘公園前バス停と”丘公園入口”
西洋館/公園内各施設(開館時間・休館日他)
西洋館
横浜市イギリス館 | 公式サイト 開館時間:9:30~17:00 休館日:第4水曜日(休日の場合は翌日)/年末年始(12/29~1/3) 入館料:無料 |
山手111番館 | 公式サイト 開館時間:9:30~17:00 休館日:第2水曜日(休日の場合は、翌日)/年末年始(12/29~1/3) 入館料:無料 |
館内ガイド | 各公園エリア(港の見える丘公園/元町公園/イタリア山庭園)ごとに、二か月に一度のペースで有料開催(1館30分程度、500円)されています。 詳細は公式サイト “館内特別ガイド“へ。 |
展望台/庭園/花壇ほか
以下の施設は、フランス山地区以外24時間開園・利用・閲覧可能です(庭園・公園への入園料等は全て無料)。
フランス山地区 | 元町中華街駅・元町口付近から展望台エリアにかけて整備された、公園内・山の斜面部分です。季節により、開園時間が異なります。 通年:7時~17時 4月~9月:6時~19時 10月~11月:7時~18時 12月~1月:7時~17時 2月~3月:7時~18時 |
展望台エリア | みなとみらい/山下公園/新山下・本牧ふ頭方面が展望できます。 |
イングリッシュ・ローズの庭 | 約150種、約800株のバラが植えられています。 |
香りの庭 | 約100種 約400株のバラが植えられています。 |
噴水塔 | 昭和62(1987)年に、近代水道設置100周年を記念して作られました(山手111番館隣)。 |
バラとカスケードの庭 | 約80種 約750株のバラが植えられています。 |
霧笛橋前広場 | 文学館エリア、霧笛橋の手前に広がる展望エリアです。 |
公衆トイレ | 展望台エリア付近に用意されています。 |
公園内商業施設
KKRポートヒル横浜 | 公式サイト 一般利用も可能な、国家公務員共済組合連合会が運営する宿泊施設です。レストラン「山手ローズテラス」も用意されています。 |
カフェ・ザ・ローズ (山手111番館内) |
公式サイト open:10:00 ~ 17:00(16:30LO) 定休日:第2水曜日(水曜日が祝日の場合は翌木曜日) |
大佛次郎記念館 | 公式サイト 開館時間 4~9月: 10:00~17:30(入館は17時まで) 10~3月 :10:00~17:00(入館は16時30分まで) 休館日 毎週月曜日(月曜祝休日の場合は、翌平日)の他、年末年始、展示替え期間、特別資料整理期間など 入館料 高校生以上200円/中学生以下無料 ほか、団体割引等あり(詳細は公式サイト”観覧案内“へ) |
神奈川近代文学館 | 公式サイト ※開館時間は施設ごとに異なります 展示室 9:30~17:00 (入館は16:30まで) 閲覧室 火~金:9:30~18:30 (閲覧請求/複写申込:~18:00) 土/日/祝:9:30~17:00 (閲覧請求/複写申込:~16:30) 貸会議室・和室・ホール(有料・要予約) 9:30~21:00 (見学/窓口申込/お問い合わせ:~17:00) 休館日 平日の月曜日、年末年始(12/28~1/4) 入館料 展示室の閲覧のみ、有料(閲覧室入室は無料) 特別展一般700円、企画展一般500円、常設展一般260円 高校生は全て100円、中学生以下無料 詳細は公式サイト”開館時間・観覧料“(モバイルサイト)へ |
鮨喫茶すすす (近代文学館内) |
公式Instagram/神奈川県公式プレスリリース open:9:30~17:00(LO16:45) 寿司提供は11:00〜14:00 定休日:月曜日(近代文学館に準拠) |
公園北部
港の見える丘公園・フランス山地区
明治29(1896)年から昭和33(1958)年までフランス領事館が置かれていたことに因んで“フランス山”と呼ばれるようになった一帯は、現在、公園敷地内の北部にて傾斜部を形成しています。
元町中華街駅・元町口を出てすぐ右側(=駅入り口に向かって左側)にて形成されている三差路の交差点ですが、写真正面の信号の右側にはバス通りである谷戸坂が伸びています。入口となっている門の手前にはベイバイク(レンタル自転車。電動アシスト付きです)のポートもありますが、フランス山地区はバス通りである谷戸坂の奥で、坂に沿うように形成されています。
入園料は無料、全季節共通の開園時間は朝7時から夕方17時までで、既述のように、朝7時以前と夕方17時以降は(平均的な日照時間に準拠する形で)季節によって前後します。
公園内に入ると、門の右手方向から丘の上の公園部分に向かって山道が伸びていますが、
公園内の”山道”は、最終的には展望台エリアへと通じています。
参考
公園中央部
展望台エリア
展望台エリアは、年中無休で24時間開放されています。入園無料です。新山下エリアを埋め立てる以前は崖の下がすぐ海だったようですが(※)、残念ながら(?)、現在は人工のふ頭で形成される海岸線まで少し距離があることが、展望台からの景観で理解出来ます。
参考
KKRポートヒル横浜
KKRポートヒル横浜は、港の見える丘公園入り口付近、展望台エリアの隣に位置するという、ロケーション抜群のホテルです。KKR=国家公務員共済組合連合会の施設ですが、一般の利用も可能です。
参考
横浜市イギリス館/イングリッシュ・ローズの庭
港の見える丘公園の中心部に位置している西洋館は横浜市イギリス館、
その前に作られた庭園は、イングリッシュ・ローズの庭です。
横浜市イギリス館への入館、及び約150種、800株のバラがメインとなるイングリッシュ・ローズの庭への入場は、共に無料です。イギリス館では四季折々のイベントが、イングリッシュ・ローズの庭ではバラを中心に様々な花が、それぞれの”推し”要素です。
参考
香りの庭
イングリッシュ・ローズの庭の東隣(=海側)に造られた花壇が、香りの庭です。
入場は無料で年中無休、24時間開放されています。
約100種、400株のバラが植えられているというバラがメインの花壇で、その名の通り、盛期にはほのかなバラの香りが楽しめます。
参考
公園南部
山手111番館
市バス20系統のバス通りに面したところにある西洋館が、山手111番館です。
横浜市イギリス館の裏手にあたる一帯で、噴水塔や、バラとカスケードの庭(後述)に隣接していますが、この噴水塔周りのスペースは観光周遊バスや観光バスのロータリーとなっています。
参考
噴水塔(近代水道設置100周年記念)
山手111番館のすぐ隣にある噴水塔は、近代水道設置100周年を記念して昭和62(1987)年に作られたという、かつて旧横浜停車場前(現JR桜木町駅前)に設置された噴水塔のレプリカです。
二基作られたレプリカの一基にあたりますが、一基は港の見える丘公園内に設置され、もう一基は当時の横浜の水源であった津久井郡津久井町に寄贈されました。
一方で”オリジナル”(明治20年=1887年、横浜に日本初の近代水道が設置されたことを祝し、当時の横浜駅前=現在のJR桜木町駅前設置されました)の方は、2021年9月をもって閉館した保土ヶ谷の横浜水道記念館に展示されていた他、現在はJR桜木町駅前に写真で展示されています。
参考
喫茶店”cafe the Rose”
バス通り側から見た山手111番館地下一階部分が、喫茶店”cafe the rose”です。テラス席に隣接するのは、公園内のバラとカスケードの庭です。
営業時間は10:00~17:00(7・8月は~18:00)、毎月第2水曜日が定休です。
参考
バラとカスケードの庭
バラとカスケードの庭は、山手111番館の裏手にて、大佛次郎記念館、神奈川近代文学館(閲覧室)、二つの文学館の間に位置している庭園です。
約80種、750株のバラが植えられているという、バラが売りとなっている庭園ですが、バラの他の花についても華やかであるほか、春先には背の低い桜も楽しめます。
庭園内からは山手111番館の他、横浜市イギリス館を見上げることも出来るあたりも魅力ですが、庭園下部(北西方向)には公園への出入り口があり、霧笛橋の下からちどり坂方向に進むことも出来ます(このルートは、新山下方向から公園に向かう時の入口にあたります)。
庭園への入場は無料で年中無休、24時間開放されています。
参考
【横浜山手の公園】バラとカスケードの庭(港の見える丘公園内、山手111番館裏手)
大佛次郎記念館/神奈川近代文学館
公園内南端の”文学館エリア”にあるのが、大佛次郎記念館と神奈川近代文学館、二館の文学館です(写真は、”香りの庭”隣に位置する大佛次郎記念館です)。
参考
霧笛橋前広場と霧笛橋
大佛次郎記念館と神奈川近代文学館、二館の文学館をつなぐ位置に造られた広場が霧笛橋前広場、霧笛前広場から神奈川近代文学館方面に伸びた橋が霧笛橋です。
展望台エリアから香りの庭を望んだとき、正面に見えるのが大佛次郎記念館、記念館の左側に位置するのが霧笛橋前広場で、近代文学館は霧笛橋前広場から伸びた霧笛橋の向こうに位置しています。
霧笛橋付近には、新山下エリアとの間が繋がれた坂道であるちどり坂がありますが、霧笛橋にも(バラとカスケードの庭への出入り口付近に作られた)降り口が用意されています。
霧笛橋前広場からの景観は、”丘の上から港を望む”お勧めスポットの一つです。
参考
タグ