スポンサーリンク

【横浜山手の坂道】ワシン坂(本牧エリアから山手地区へ)

横浜山手の坂道

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分30秒です。

【横浜山手の坂道】ワシン坂(本牧エリアから山手地区へ)

ワシン坂へ

入り口付近

港の見える丘公園前、さらには谷戸坂へと続いていく坂のはじまりとなっている、ワシン坂の入り口です。

ここから、山手の丘の上に向かって急な坂道が続きます。

“ワシン坂”、坂名の由来と湧き水

ハッキリとした由緒がありそうなインパクトを持つ”ワシン坂”の名前ですが、由来には諸説あるとされています。

中でもどこか尤もらしく聞こえるのは、日米「和親」条約の”ワシン”がそのまま坂の名前になったという説でしょうか。

アメリカをはじめ、欧州列強等との”和親条約“で日本が開国し、横浜が開港した、ほどなくして丘の上は外国人居留地となったのだという近代横浜史の展開にこの上り坂がつながっていると捉えると、それはそれで無理がなさそうにも伝わってきます。

ほかには”湧き清水”坂、あるいは”鷲見”坂がなまってワシン坂といわれるようになった等々の説もあるようですが、一説によると”ワシン坂”の名前の由来になったとされる湧き水が、今も”ワシン坂入口”信号横にあります。

湧き水は今でも生活用水として使われているのですが、残念ながら、現在は飲用には適さないようです。

ワシン坂病院とワシン坂公園

急な上り坂であるワシン坂の、上りはじめに出てくるのがワシン坂病院です。

よく見ると窓に鉄格子がついていたり、屋上階のフェンスが内側に戻る形の鉄条網ぽい形だったりと、ちょっと物々しい見た目が特徴です。

そんなワシン坂病院のすぐ裏手あたり、上り坂の左手にあるのがワシン坂公園です。

こじんまりした公園ですが、高台にあるので、天候次第では今でも富士山が見えます。

眼下に広がるのは、北方(きたがた)町、本牧町、本郷町あたり。JR根岸線山手駅方向です。

ワシン坂公園のすぐ横には、”猫坂”と呼ばれている、結構急な階段坂があります。名前の由来は、かつて昭和の頃に捨て猫が多く捨てられ、結果猫が多く住みつくようになったことからのものだとのことです。

ワシン坂公園や猫坂とは反対側、海側に広がる新山下方面にも視界は開けていて、すぐ近くの花、遠くのベイブリッジと、結構文句ない景色が広がります。

アメリカ国務省・日本語研修所

アメリカ国務省の日本語研修所があるのもこの付近です。

米国務省の日本語研修所は、日本に赴任する米国の外交官が日本語研修を受けるための学校ですが、つい最近、元町・中華街駅前の”シドモア桜“から作られた苗木がこの日本語研修所に植樹されたことが話題となりました(’19.3.31付読売新聞朝刊)。

“日本語研修所”付近からも、やはりはるか遠くに富士山が見えます。高層建築などなかった時代であれば、さぞやはっきり見えたことでしょう。

ワシン坂上公園/ヘレン記念教会/ロイストン教会

ワシン坂を上りきった辺りには、猫坂傍のワシン坂公園と名前のよく似た”ワシン坂上公園”という海側を臨む公園があって、

向かいには山手ヘレン記念教会(公式サイト)というプロテスタント系の教会、同じ通り沿いのもう少し先には、やはりプロテスタント系の山手ロイストン教会(公式Instagram)があります。

“港の見える丘”からの風景

キリスト教系の教会が多く、キリスト教とのかかわりも深いというのも元・居留地の故ですが、

この付近から道沿い風景が”港の見える丘”風になってきます。

知る人ぞ知る(?)絶景スポットで、夜のこの付近からは、かなり綺麗な夜景が望めます。

横浜インターナショナルスクール/港の見える丘公園

そのまま道なりに進んでいくと出てくる赤レンガ風の建物は、横浜インターナショナルスクール(公式サイト以下YIS)の建物です。

YISは1924年(大正13年)創設の伝統校ですが、2021年を目途に本牧地区に移転する(タウンニュース中区・西区版本牧国有地 山手の国際学校が移転へ“)ということで話題になりました(2022年4月現在新キャンパスへ移転済み。参考:YIS公式サイト “new campus now open“)。

ここには幼稚園と講堂が置かれていたようです。

さらに歩くと山手111番館が右側に、

通りの向かいには、かつてYISの校舎がありました。

日本の学校でいうところの小学校から高校までの過程がこのキャンパスに設置されていて、YISのグラウンド等はこの校舎の裏手、陣屋坂沿いに広がっていました。

旧YISの前、横浜市イギリス館横を通過すると、

谷戸坂方面へ進みます。山手本通りはこの交差点左手に伸びています。

余談:ワシン坂エリアの歴史

ワシン坂は、いわゆる”横浜山手”の文明開化イメージとは裏腹に、”心霊”だったり”事件”だったり”噂”だったり、挙句インターネット黎明期のアングラ掲示板としてお馴染み”2ch”(現・5ちゃんねる)が来てみたりと、Google検索のサジェストで二番目以降に並ぶキーワードに、割と物騒なものが目立つ一帯となっていますが、その根拠については、まったく根も葉もない噂であるというわけではなく、大昔のとある事件に宿っています。

時は現在の中区山手町が”The bluff”と呼ばれていた、外国人居留地時代。

現在のワシン坂病院付近で発生した殺人事件(被害者・加害者共に英国人)が”ワシン坂”検索で付いてくる物騒なサジェストのルーツにある話で、ほぼすべての風評につながる話となっています。

ちなみにこの事件については、ノンフィクション本(”横浜・山手の出来事”)も残されています。

100年以上前の話し、同じく”横浜山手”とはいっても、現在とは法的な性質が異なる土地だった時代の話ではあるのですが、居留地の社交クラブの支配人だった英国人男性が自身の妻によって殺害(ヒ素による毒殺)されたと結論づけられた事件は、当時の外国人居留地を震撼させた、中々センセーショナルなものだったようです。

アクセス

タイトルとURLをコピーしました