フランス縁の”丘”の山道
about “フランス山”
港の見える丘公園の傾斜部を形成する”フランス山”の名は、横浜開港まもない頃、現在の谷戸橋付近に駐屯していたフランス軍が同地を占拠し、後に(明治29年=1896年から昭和33年=1958年まで)フランス領事館および領事の公邸が置かれていたことに由来します。
現在、季節ごとの日照時間に合わせる形で解放されているため、夜間は通年で閉鎖されています。
フランス山地区への入り口は、みなとみらい線元町中華街駅・元町口傍、港の見える丘公園・展望台傍の他、谷戸坂沿い(中腹付近)にも用意されています。
参考
- みなとみらい線 元町・中華街(山下公園)駅 -駅基本情報、ロケーション、交通案内-
- 【みなとみらい線沿線さんぽ/山手本通り】港の見える丘公園
- 【横浜山手の公園】港の見える丘公園・展望台(香りの庭、フランス山地区入口横)
- 【街歩きと横浜史】近代横浜の始まり -開港場と周辺エリア-
- 【沿線の歴史的建造物】谷戸橋(元町中華街駅前、谷戸坂傍)
- 【横浜山手の西洋館】横浜市イギリス館(港の見える丘公園内、元町中華街最寄り)
- 【横浜山手の庭園】イングリッシュ・ローズの庭(港の見える丘公園内)
- 【横浜山手の公園】香りの庭(港の見える丘公園内、イングリッシュ・ローズの庭隣)
フランスの跡
現在のフランス山には、結局のところかつての姿が遺構として残されているに過ぎない(というと表現がストレートすぎるかもしれませんが)状況があることからか、”かつて原野だった山手”を思わせる雰囲気が強く、横浜市イギリス館やイングリッシュ・ローズの庭、香りの庭といった”旧・イギリスエリア”(現・イギリス山地区)とは異質の雰囲気があります。
観光スポットとして「訪問がマストか」と問われるといささか弱い気もしますが、「一度くらいは」と捉えた場合。”丘公園”内にあっての「今時の横浜イメージとは一味ふた味違う」かつての一端を思わせるエリアなだけに、結構なお勧めスポットとなります。
レンガ造り井戸遺構
展望台側の入り口から続く木道を下っていくと、木道を降り切った辺りはレンガ造りの井戸遺構が残されています。
現在既に涸れてしまっている井戸は、かつてフランス領事公邸の竣工時に設置されたものです。現在はフランスの外交拠点在りし日の姿を思わせる施設となって、”遺構”の一端を形成しています。
とはいえ、この付近はまだ遺構の向こう側に展望台が望める位置で、
港方向にはベイブリッジも遠景に映えています。
“公園中心部をちょっと離れたところにある木陰”みたいな感じですね。
谷戸坂への連絡口
井戸の遺構から少し下ったところには、港の見える丘公園横に通されている谷戸坂との連絡口が用意されています。
参考
風車
フランス山中心部に残された風車は、まさにここで使われていた風車ではなく、同時代に使われていた風車が参考にされたというレプリカです。
かつて井戸水をくみ上げるために使われていたという、本物の風車自体は、フランス側の資料によって、およそ明治42(1909)年ごろまでは存在していたことが確認出来るようです。
フランス領事館跡
フランス山中腹付近に位置する領事館(兼領事公邸)跡は、関東大震災後に建てられた建物が焼失してしまった時の姿で、そのまま残されているようです。
かつて「すぐ横に通された谷戸坂こそが繁華街で、元町はそれに比べると寂しい一帯だった」という時期もあったようですが(※)、“(横浜)元町商店街”の知名度が全国区になって久しい現在。
往年の姿からすると寂れてしまったといえるのであろうこの付近からは、横浜にとっての戦後復興の象徴でもあるという、”横浜港開港100周年記念”で建てられた横浜マリンタワーが視界に入ります。
さしづめ、横浜の新旧の交錯が感じられるという一帯ではありそうですね。
参考
- 中区制50周年記念事業実行委員会『横浜・中区史』(昭和60年2月1日)(※)
- 【横浜山手の坂道】谷戸坂(元町中華街駅傍、港の見える丘公園横)
- 【まとめ】元町商店街”ざっくり”ガイド(街歩き、名物店、喫茶etc)
- 横浜マリンタワー(元町中華街駅最寄り、山下公園前)
- 横浜マリンタワー公式サイト
フランス山の”山道”
フランス山の中腹付近は、
同じ横浜山手の山手公園や元町公園にも似た雰囲気を持っていて、
“綺麗に手入れされた、ちょっとした山道”な雰囲気が魅力となっています。
参考
クリーニング業発祥の碑/横浜ボウリング発祥の碑
フランス山の入り口付近には、安政年間(1854~60年)に本町5丁目に開業したクリーニング業が、慶応年間(1865~68年)に元町にて軌道にのったことを記念して置かれたという、“クリーニング業発祥の碑”と、
元治元(1864)年、当時の外国人居留地内に、現在の横浜市域で初めてボウリングサロンが開場したことを記念して置かれたという、“横浜ボウリング発祥の碑”があります。
二つの記念碑は、元町中華街駅傍の入り口(写真中央の高架下)から入った時に最寄りとなる、フランス山地区入口広場とそのすぐ傍に位置していますが、写真中央にかかるアーチ状の橋は、山下公園通り沿いにある人形の家前までを結ぶ、フランス橋へとつながっています。
参考
- 【開港都市・長崎の風景】日本国ボウリング発祥の地(路面電車大浦天主堂駅傍)
- みなとみらい線 元町・中華街(山下公園)駅 -駅基本情報、ロケーション、交通案内-
- 【みなとみらい線沿線の四季/秋の横浜2021】秋の山下公園通り(山下公園前)
- フランス橋とポーリン橋(港の見える丘公園・フランス山地区から山下公園へ)
メダリオンと旧フランス領事館
みなとみらい線の元町中華街駅・元町口を出た後、駅構内を背にして右側(元町商店街と反対方向)に進むと、少し歩いたところに用意されているのが港の見える丘公園・フランス山地区の入口ですが、
フランス山地区入口のすぐ傍、フランス橋の直下にあたる位置には、旧フランス領事館の外壁に取り付けられていたとされる、“RF”の文字が刻まれたメダリオンが埋め込まれています。
“RF”は”République Française”=フランス共和国を現した頭文字で、
すぐ傍には、メダリオンについての説明も埋め込まれています。
ちなみにこの地は明治29(1896)年から昭和33(1958)年まで、フランスの拠点(領事館・領事公邸)として機能しました。現在のフランスの駐日公館としては、大使館が都内に、総領事館が京都に、それぞれ設置されています(※)。
参考
開園情報/アクセス
開園情報
開園情報は公園入り口の門扉に記載されていますが、季節によって若干変動します。
開園時間 | 時期 |
7:00~17:00 | オールシーズン |
6:00~ | 4月~9月 |
~18:00 | 10月/11月、2月/3月 |
~19:00 | 4月~9月 |
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