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【箱根七福神めぐりの旅】箱根登山電車乗車記
2020年秋の箱根・七福神巡りの旅で、道中で利用した箱根登山電車の乗車記です。
別記事として分離し、再掲載します。
箱根登山鉄道と”箱根旧街道・1号線きっぷ”
今回の七福神巡りで使った「箱根旧街道・1号線きっぷ」(箱根登山バス “箱根旧街道・1号線きっぷ“)は、箱根登山バスだけではなく、箱根登山鉄道にも乗車できてしまうという優れもの切符です。
小田原から早雲山まで通された箱根登山鉄道では、それぞれ小田原・強羅間が箱根登山電車区間、強羅から早雲山までが箱根登山ケーブルカー区間に該当しますが、電車区間・ケーブルカー区間、二区間共「箱根登山鉄道」株式会社(箱根登山電車公式サイト “路線図“)が管轄しています。
つまりバス区間に「鉄道」区間を併せると、箱根湯本から大涌谷・芦ノ湖界隈までのほぼ全域が網羅できてしまうわけです。
この日の宿である箱根レイクホテル(公式サイト)の前に戻るには、バスの路線の都合上、一旦箱根湯本に出た上で桃源台線(箱根登山バス)を利用することが必要だったため、それだったらということで、小涌谷から箱根湯本まで、箱根登山電車を利用することにしました。
今回の箱根詣ででは、メインの目的(七福神巡り)に付随するついで目的といえばついで目的ではあったのですが、つい最近(2020年7月23日)、昨年10月の台風19号被災による被害(箱根町公式サイト “令和元年台風第 19 号災害対応報告書“)からようやく全線復旧したというニュースも見ていたので、箱根登山鉄道乗車自体にしても今回の箱根詣での楽しみの一つだったんですよね。
小涌谷駅構内
箱根登山バス箱根町線・小涌谷駅前バス停下車後、相対式ホームとなっている小涌谷駅構内に入ると、どこか江ノ電の駅を思わせるようなホームの雰囲気が伝わってきます。
ホームのすぐ傍が緑、山やトンネル傍の駅というあたり、極楽寺界隈と重なるロケーションではありますが、かたや(高低差はあるとはいえ、基本的に)海沿いの平地に造られた駅、かたや山野部に通された駅です。
双方の雰囲気が似ているというのもどこか不思議な話ではあるのですが、
箱根登山電車の稀有な部分は路線の通され方や電車の構造にほぼ集約されているためか、駅のつくり自体には、峻険な箱根エリアに通されているとはあまり思えないような普通っぽさもありました。
それぞれの電車と”スイッチバック運転”
早速隣のホームに電車が入線。
思いきり大きく作られた窓やシースルーのドアが印象的な、新型の3100形車両(箱根登山電車公式サイト ”車両紹介 3100形”)でした。
ぱっと見で目を惹くこの車体をかわいいと表現するかおしゃれと表現するか、あるいはスタイリッシュと表現するか、そのあたりの感性の相違はともかくとして、どこか家に持って帰りたくなる、あるいはミニチュアの車両を部屋に飾りたくなる類の魅力を持った電車ではありますね 笑。
ほどなく箱根湯本行きの電車も入線しました。
3100形に比べるとやや先輩にあたる、というよりはベテラン選手にあたる2000形車両(箱根登山電車公式サイト ”車両紹介 2000形”)でしたということで、新旧2車両が小涌谷駅でご対面です。
箱根登山鉄道は単線区間を持っている上、スイッチバック運転をしているので、駅以外で電車が停車することがある他、駅での待ち合わせが多いのも特徴です。
ちなみにスイッチバック運転とは、電車の進行方向を転換する運転のことです。
いったん停車した後、改めて反対方向に向けて走って行く”ジグザグ走行だ”というとイメージしやすいでしょうか。
スイッチバック時には、それまでの先頭車両が最後尾の車両となるため、運転手さん・車掌さんはそれぞれのポジションを入れ替えなければならないのですが、その際には駅以外のところで停車する必要が出てきます。
急峻な山野部に電車を通しているため、そのような走行を余儀なくされてしまうわけですが、箱根登山電車は、全線に3か所のスイッチバックポイントを持っています(参考:箱根登山電車公式サイト “箱根登山電車の特徴“)。
ということで、他車両とのすれ違いが楽しめるのも箱根登山鉄道の魅力のうちなのですが、現在箱根登山電車に一編成だけ残された、旧式の1形電車(箱根登山電車公式サイト “車両紹介 1形電車“とのすれ違いもありました。
地元民(≒神奈川県民)であれば、パッと見で「箱根を走ってる電車だ!」とわかるという、あの電車ですね。
沿線風景
ところどころで他電車とすれ違いながら、電車は淡々と箱根湯本を目指して進みますが、
線路は山の斜面に沿って敷かれているため、周辺風景は山だらけです。
乗っていて実に気分爽快なのですが、とにかく山を上り、あるいは下るため、ただひたすら爽快であるということの他に「よくこんなところに電車を通すことが出来たな」といった気持ちが出て来たりもします。
ここに電車を通すにあたっての、恐らくは想像を絶するような先人の苦労が偲ばれるところですね。
そんな箱根登山電車沿線でも屈指の難工事が要求されたといわれ、現在は国の有形文化財(文化遺産オンライン “箱根登山鉄道早川橋梁“)にも指定されているという、
“出山の鉄橋”(神奈川県公式サイト “出山の鉄橋”)こと早川橋梁は、沿線屈指の見どころです。
通過時はほんの一瞬ですが、絶景を楽しむことが出来ます。
箱根登山バスへ
ほどなくして電車は箱根湯本に到着。宿泊地である箱根レイクホテルを目指し、この日最後の路線バス乗車となりました。
今回の旅行ではススキの中を歩くことは出来ませんでしたが、
箱根のススキはまさに今が見ごろの季節にあたるため、
バス乗車時の沿線風景は、とても鮮やかでした。