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【開港都市・長崎の風景】四海楼(ちゃんぽん発祥店、グラバー通り傍)

長崎

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【開港都市・長崎の風景】四海楼(ちゃんぽん発祥店、グラバー通り傍)

元祖ちゃんぽん・四海楼

about ちゃんぽん

四海楼しかいろう公式サイト)は、路面電車の大浦天主堂駅傍に位置する、いわゆる”ちゃんぽん”、あるいは”長崎ちゃんぽん”の発祥店です。

明治32年(1899年)、現在地とは異なる唐人屋敷(唐人屋敷は、現在の新地中華街の南東方向に位置する”新地”以前の中国人居留地です)の入り口付近で創業しました。

ちゃんぽんは福建料理の『湯肉絲麺とんにいしいめん』をルーツとしているようで、中国から日本へ渡航してくる貧しい華僑や留学生たちに、安くて栄養価の高い食べ物を振舞うためとして作られたことがはじまりです。

元々は支那饂飩しなうどんと呼ばれていたものが、大正時代以降、中国語で「ご飯を食べて行きなさい」を意味する”吃飯シャポン“の音から派生する形で、現在の呼称である”ちゃんぽん”となったようです(有力説。他説あり)。

同じく”ちゃんぽん”の名を冠した類似の料理には、具材を麵と一緒に和風だしのスープで煮込んで作るという、彦根発祥の”近江ちゃんぽん”がありますが、四海楼にルーツを持ついわゆる“長崎ちゃんぽん”は、具材を一度中華鍋で炒めた後に、麺と一緒に鶏ガラやとんこつスープで煮込んで作ります

“近江”の方は和食風にアレンジされたちゃんぽん、”四海楼”にルーツを持ついわゆるちゃんぽんは日本で開発された中華料理、といった感じでしょうか。

それぞれが特有の魅力を持っていることが分かりますね。

余談として、”ちゃんぽん”のスープ無しバージョンとして、同じく福建料理の炒肉絲麺ちゃあにいしいめんをヒントとして考案されたのが、現在の皿うどんです。

やはりちゃんぽん同様に、豊富な具材が炒められるところから調理が始まります。

ちゃんぽんにしても皿うどんにしてもどちらも食欲をそそる一品であり、どちらか一方のみを選択するという判断が実に悩ましくなるところではあるのですが、今回は四海楼にて、”元祖”となったちゃんぽんをいただきました。

参考:中華料理四海楼公式サイトちゃんぽんの由来“、”四海樓の沿革“、”皿うどんの由来“、2022.3.28付長崎新聞皿うどん探訪記(上)“、ちゃんぽん亭公式サイト近江ちゃんぽん誕生秘話“、近江ちゃんぽん協会近江ちゃんぽんとは“)

四海楼でちゃんぽん

路面電車の大浦天主堂駅下車後、少々歩いてお店(四海楼)の前まで。昔ながらのこじんまりした中華のお店を想像していたので、位置情報だけを頼りに現地に赴き、そしてこのビルを見た時には少々(?)びっくりしました。

とはいえ、横浜中華街の老舗店のあり方から類推すれば、およそ”イコール”で結ばれる部分も出て来るのかもしれませんし、今現在の日本国内における(長崎)ちゃんぽんの普及具合(=根強い人気)を判断材料に加えるのであれば、ある意味これでもまだ”こじんまり”なのかもしれません。

入店を前にして思うところが色々出て来たりもしたのですが、早速店内へ。

ルーツにあった「苦労人だった初代の店主が、母国から来日した貧しい留学生たちに安くて栄養価のあるものを」云々といった歴史とはそのまま簡単に結びつかないような、高級店、一流店が持つ雰囲気が漂っていて、フロアからは長崎の港が一望できます。

これが”湯肉絲麺”から改良された”支那饂飩”がもたらした約120年後の現実なのだと考えると、中々ドラマチックなところではありますね。

とはいえ、ちゃんぽんも皿うどんも大好きだし、この日はちゃんぽんを食べる気満々でお店に出向いたのですが、メニューを見る前にして「本当にちゃんぽんだけ食べるなんてことが出来るのかな?」という不安も少々頭をもたげてくるところとなりました。

でも、大丈夫でした。相場と比べると少々値が張っていることも分かりますが、”元祖”としての付加価値を考えたら、まあそんなものかもしれません。

ということで、迷うことなくちゃんぽんを選択し、デザートに杏仁豆腐を追加しました。

メインの長崎ちゃんぽんと、

デザートの杏仁豆腐です。

食レポ的には、どちらも「目玉が飛び出るほどおいしかったです!」ということはありませんでしたが、およそ国内に流通するちゃんぽんのルーツとなっていることが良くわかる味、”ちゃんぽん”の最大公約数的なところに位置付けられたような、上品な味が楽しめました。

ランチタイムのラストオーダーギリギリの入店だったということもあって、食後は一望できる長崎港の景観を楽しませてもらうことが出来ました。

ちゃんぽんミュージアム

ちゃんぽんの元祖・四海楼では、ただ食事を提供するだけではなく、お店やちゃんぽんにまつわる色々な情報が提供されるスペースが設けられていたりするのですが、エレベーターの中では”裸の大将”こと日本画家の山下清さん来店時のニュースが展示されていました。

このほか、外から続く階段を上がってすぐのところには、”ちゃんぽんミュージアム”として、お店の歴史、ちゃんぽんや皿うどんにまつわる話などが展示されたコーナーが作られています。

ちなみに入場は無料で、食後に気軽に立ち寄れる雰囲気があるので、ほぼ同じタイミングで入館した観光客の方も、何人かいました。”ついで”寄り推奨コーナーですね。

初代店主やちゃんぽん誕生にまつわる秘話、

ちゃんぽんのルーツ、命名の由来、

年表等々。他には有名人等の来店ニュースなども飾られていたのですが、

なんと、今上天皇も皇太子時代に来店されたことがあるようです。

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