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【冬の終わりの札幌へ その5】すすきの界隈から時計台へ
鴨々川
札幌随一の繁華街であるすすきの界隈東側には、札幌開拓期に大きな役割を果たした創成川という人工の川が流れていますが、創成川は札幌市民の憩いの場である中島公園の南端で豊平川から分流している川で、
特に上流部分が鴨々川と呼ばれています。
厳密には、南七条西までが鴨々川、南六条西より先が創成川となるようです。
水質についても至って良好なようで、
看板にもある通り鯉が放流されているのが分かります。
豊平川の分流である鴨々川から引かれた水で作られたのが人工の川である創成川だ、
という関係にあるようですが、すすきの付近ではまだギリギリ鴨々川と呼ばれています。
3月下旬の流域では、残雪も風景の一部となっていました。
札幌開拓と鴨々川・創成川
開拓時代の札幌では「豊平川から分流した鴨々川から水を引いて作った」創成川の流れに沿って区画整理が進められました。
つまり、現在綺麗に整えられている札幌市街地の南北のラインの基準になっている川が創成川なのですが、人工の河川=創成川の水流は、街区の区画の基準となったほか、物流用途でも使われたとのことです。
現在の札幌の中心部が、創成川・鴨々川の源流である豊平川の扇状地(河川の流れが運んだ砂利によって作られた地)の上に開拓されていることとも併せて考えれば、まず初めに豊平川ありき、ついで創成川ありきで発展した地が札幌中心部なのだと捉えられるところですね(参考:札幌市公式サイト “創成川・鴨々川 川めぐりマップ“)。
余談ですが、鴨々川や創成川の源流である豊平川は、札幌市内でサケの遡上と産卵が見られる川の一つで、すすきの中心部を通る月寒通(ニッカの看板や市電のすすきの駅がある通り。後述)にかかっている豊平橋も、サケの遡上が見られるスポットの一つのようです(参考:札幌市豊平川さけ科学館 “豊平川“)。
札幌の中心部でもサケの遡上がみられるというあたり、やっぱり北海道ですよね。
すすきの市場/すすきのゼロ番地
地下鉄南北線のすすきの駅をすすきのの中心とすると、
中心部からやや北西に位置するところにあるのがすすきの市場(ビル一階にある、主に食料品を扱う商店街)、およびすすきのゼロ番地(ビル地下の飲食店街)です。
すすきの市場は、地下で営業しているゼロ番地のお店の関係者が主なお客さんとなっているようですが、地下のゼロ番地は夕方以降でないとお店が開いていません。
ビルには「ゼロ番地」の看板も出ています。
その昔(10年以上前)、札幌在住の知人に連れられて地下のゼロ番地のお店に行ったことがあるのですが、いわゆる二次会としての時間を、ごくごく普通に過ごせた記憶があります。「行った」という以上の記憶がほぼ残っていないのが残念なところではあるのですが、入ってみればごく普通のスナックだったような記憶がおぼろげに残っています。
入り口にある握り飯のお店は24時間営業で、結構おいしかった記憶があります。
にぎりめしのお店の左側には、2階より上に作られた、市内最古の公団住宅であるススキノアパートへの入り口がありますが、中島公園付近から歩いてきた場合、この辺りを過ぎるとぼちぼちすすきのの中心部(地下鉄南北線のすすきの駅界隈)に到達します。
すすきの中心部
ニッカの看板
すすきの市場が入っている建物から少し歩いて月寒(つきさむ)通へ。
月寒通は、すすきのの交差点におなじみの看板がある通りですね。
日没後に見ると、より「札幌来たぜ~!」って気分が盛り上がる一帯でもあります。
昔(10年以上前)との比較と言うことだと、すすきのと言ったらかつては悪質なポン引きが横行する中々危険な街みたいなイメージが先行する部分も多々ありましたが、地元警察の努力の賜か、それとも新型コロナウイルス感染症こと武漢肺炎大流行の余波を受けてのものか、あるいはその両方か、暗黒イメージを彷彿とさせるような雰囲気(強引な客引きなど)は、昼夜ともほぼ感じませんでした。
月寒通と札幌市電
月寒通は中央区の東隣、豊平区から続く通りですが、
地下鉄南北線・すすきの駅の少し手前(中央区内西側)から、この通りの上を市電が走っています。
遠くに見えるのは、公園内に動物園や野球場がある丸山公園(公式サイト)と、スキージャンプ場・オリンピックミュージアム等がある大倉山です。
市街地から間近に、それも真正面に山が見えるというロケーションが中々素晴らしいですが、市電のすすきの駅は、これらの風景を望める、ニッカの看板の手前あたりにあります。
ちなみに札幌市電ですが、現在もガッツリ市民の足として現役稼働していて「札幌の繁華街の象徴」みたいに見える一帯を、割と頻繁に行き来している様子がうかがえます。
企業広告のラッピング電車だったり、
車高が低く窓が大きいことが強調された、スタイリッシュなタイプだったり、
色々なタイプの電車が走っているのを見ることが出来ます。
ニッカの看板が映える夜になると、
市電やすすきの駅にも、札幌一流といった雰囲気が出てきます。
すすきのの交差点前を通過後の市電は、札幌駅方面へ向かって走り、大通公園の手前で左折します。
北海道っぽい街中風景いくつか
がんばろう北海道
「ぽい」は私見に基づくものですが 笑、それと感じたものをいくつか。
すすきの交差点付近のカニ屋さんに出ていた垂れ幕「がんばろう北海道」です。
当たり前といえば当たり前なのですが、この場合北海道に下げる垂れ幕だから「北海道」と記されているんですよね。
北海道に来たんだ、札幌にいるんだという実感が高まりつつあったタイミングで見かけた垂れ幕で、以降テンション上がったことを覚えています 笑。
北海道日本ハムファイターズ
北海道といえばこれ、色々な要素があるかと思いますが、
そのうちの一つに上がってくるのは間違いなく北海道日本ハムファイターズではないでしょうか。
色々な選手のバージョンがあるのですが、すすきのから狸小路の間の一枚には、昨年2020年の打率がリーグ三位の.340だった、横浜高校OB・近藤健介選手のペナントが架けられていました。
地名を付した企業看板と一方通行路
何の変哲もないように見える写真なんですが、狸小路の少し手前の風景です。
銀行や信組などに付く地名が北海道であり、札幌であるというあたりに加え、一方通行の大きめの通りがそこかしこに通されているというあたりにも、すごく「らしさ」を感じます。
同じような理由から、大通公園内にあった自販機のペイント、雪が残る大通公園内の風景や、左奥にある北洋銀行の看板などなど。
ちなみに北洋銀行の本店は、北洋銀行の青い看板のあるビルの向かいあたり(札幌駅側、写真右方向)にあります。
狸小路から大通公園へ
北海道最古の商店街であり、札幌の見どころの一つとなっている狸小路商店街も、
午前の早い時間では閉まっているお店ばかりでした。
大通公園、テレビ塔と残雪
狸小路を過ぎると、これも札幌名物、テレビ塔のある大通公園へ。
今年は新型コロナウイルス感染症こと武漢肺炎の影響から残念なことになってしまいましたが、毎年雪まつりの会場になる大通り公園には、3月の終わりが近づいてもまだ結構な量の雪が残されていました。
大通公園の他中島公園内は残雪と言うよりはほぼ雪景色で、すすきの界隈の直射日光があまり当たらない小さい通りにしても然り、ぼちぼち雪が残っていました。
ピーク時とは比べようもありませんが、そのあたりはやっぱり雪国の風景ですよね。
時計台までの道沿い、大通公園すぐ隣には札幌市役所(時計台の隣のブロック)もありますが、そのほかにも北海道新聞のビルがあったり、NHK札幌放送局があったりと、付近一帯には札幌市の中心部を思わせるような雰囲気が漂っています。
そんな周辺環境の中に突然出てくるのが、札幌市時計台です。
周囲を取り囲むビルに埋もれるようにしてそこに遺されていることが分かりますが、この立地の故から、しばしば「がっかり観光地」などと揶揄されることもあります。
時計台自体ががっかりなのではなく、変わり果てた周辺環境とのミスマッチによって「がっかり」という評価を得ているのが良くわかる感じですが、実際に館内に入ってみると「言うほどがっかりかな?」などと思わせてもらえます。
要は、いい雰囲気が残されているということですね。
(続く)
アクセス
鴨々川(鯉の放流地点)
すすきの市場/すすきのゼロ番地
市電すすきの駅
大通公園