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【燕三条系ラーメン】杭州飯店
燕三条系ラーメンの人気店へ
インターネット経由のグルメ情報で「燕三条系ラーメン」の存在を知って以来、一度食べてみたいと思いつつなかなかその機会に恵まれなかったお店が、「杭州飯店」でした。
というのも、一度目の燕三条来訪では定休日にあたり、二度目の燕三条来訪ではイレギュラーな休業日に当たったということで、実質三度目の正直だったんですね。
そんな私情とともにあった三度目の「杭州飯店」来訪。
今回は無事、噂に違わぬ絶品ラーメンを楽しむことができました。
杭州飯店と”燕三条系ラーメン”
杭州飯店へ
何分にも、訪問先は地域を代表する人気店です。
正午前後や夕食タイムはなるべく外してお店に入りたかったのですが、この日は、結果的にお昼少し前の時間にお店に着くことになってしまいました。
やはり、お店の前に列ができています。
ピークタイムの少し前だったので、多少並ぶ程度で済むかな? というつもりでお店に向かったのですが、その意味ではギリギリ想定内といったところでしょうか。
それでも店内は満席で、相席での食事となりました。
ちなみに混雑状況も相席も、近時の事情により、共に密を避ける形を基準としたものです。座敷席に関しては、ざっくりですが、通常時の満席を基準とすると6割程度の状況だったでしょうか。
6人席を3~4人で使い、4人席を1~2人で使うという、確かに混んではいるんだけどギチギチに詰められている感がないという、客目線からだとゆとりをもってその場にいれる感じです。
今ってどこも本当にそんな感じだというか、一口に今と言ってももうかれこれ一年以上に及ぶ、断続的な非常事態ですね。
特大餃子と中華そば
それはともかく、杭州飯店のお店の中は、首都圏の人気ラーメン店のようなカウンターとボックス席のみみたいな客席ではなく、どちらかというと”街の中華屋さん”といった感じで、テーブル席と座敷席に二分されています。
この辺で、まず最初に意表を突かれた気分になりました。
それがいい悪いではなく、単純に、首都圏でイメージする「ラーメン」が出てくるお店っぽく見えなかったんですよね。
かたや(原則として)カウンターだけ、かたやカウンター席なしですからね。
それは「ラーメン!」というつもりでいれば、注文を前にして違和感を感じることにはなるでしょう。
で、その予感はある意味当たっていました。
というのも、メニューを見ると、
「ラーメン」がないんですよ。
( )書きで補助的にラーメンが加えられていますが、燕三条系のルーツは「中華そば」です。
つまりメニューが示唆するのは街の中華屋さんのラーメンであり、屋台のラーメンなんですよね。
ということは、常日頃当たり前に食べている(”中華そば”の派生形のような)ラーメンとは「何か」がちょっと違うのかな? という予感がほんの少しだけした瞬間でもありました。
まず最初に出てきたのが「中華そば」とは別に頼んだ餃子なんですが、
ぱっと見でわかる、LLサイズの餃子です。
中にひき肉がぎっしり詰まっていて、普通の餃子の倍以上の大きさがあります。
「客にしっかり食べてもらう」感満載の、サイズ的には「餃子の形をした何か」にも見える特大餃子なんですが、これがものすごく美味しかったです。
お腹が空いている時に中身がぎっしり詰まった肉まんを食べた時のような満足感が味わえるのですが、問題はやはりその大きさです。
値段をみた時に、二個の値段が四個の値段、四個の値段が八個の値段というくらい高く見えるんですが(1個あたり200円です)、この値段を見て察しましょうという話でしょうか。値段に相応しい食べ応えがあるので、大食漢以外の人であれば、「2個」の方で充分ではないかと思います。
ということで、いよいよメインのラーメンです。
単純にうまいかまずいかで感想を言うのであればめちゃくちゃ美味しかったのですが、テンプレ通りの「ラーメン」を食べるつもりでいると、「あれ?」って気分になるかもしれません。
まずはお店の雰囲気が語り、次いでお店のメニューが語るように、イメージが「ラーメン」と言うより「中華そば」で、その中華そばが(燕三条系の定番である)太い縮れ麺であることから、ラーメンの太麺とうどんと、ほうとうや刀削(とうしょう)麺を足して3〜4で割ったような食感があります。
あくまで個人の感想ということで言うと、スープに絡めた時に感じる風味や食感は、「家系」の太麺というよりは刀削麺っぽいです。
ラーメンの太麺をほうとうとか刀削麺に寄せた感じの「縮れ」ですね。
確かにラーメンといえばラーメンなんですが、それよりはやはり「ここでしか食べられない中華そば」と捉えた方が、舌にも胃にもしっくりきます。
この独特の麺が、背脂+醤油ベースの味付けに滅茶滅茶フィットするんです。
「燕三条系」のルーツ
背脂醤油に太い縮れ麺という、食べ応えがあって腹持ちがいいラーメンは、洋食器の街・燕の工員さんの胃を満たすための食べ物として育ってきたようで、その背景が様々なサイトで語られています。
古くは「長崎ちゃんぽん」(ルーツは福建省の福建料理、”湯肉絲麺-とんにいしいめん-“にあります。参考:中華料理 四海樓 “ちゃんぽんの由来“)が安くて栄養価の高いものを学生に食べさせるために、その現代版である(?)「ラーメン二郎」が、三田の地で慶應の塾生と共に育ちながら全国区となっていったように、実は燕三条の「燕三条系」にも、名物が生まれてくる土台やストーリーがあったんですね。
賛否あるかもしれませんが、確かに、ぱっと見やボリューム、スープのコッテリ感等々、どことなく二郎に近いものを感じました。
ちなみに、燕三条系ラーメンの元祖は「福来亭」と言うお店だと言われていますが、その元祖である福来亭の直系に当たるのが杭州飯店だと言うことで、杭州飯店の丼には「福来亭」「杭州飯店」と、二つの店名が入っています。
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