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【東北・信越青春18きっぷ旅/その15】冬の村上へ -塩引き鮭と特急いなほ号-

旧街道/宿場町/城下町

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【東北・信越青春18きっぷ旅/その15】冬の村上へ -塩引き鮭と特急いなほ号-

“18きっぷ”で、冬の村上へ

整備工事中の新潟駅前から

JR只見線乗車の翌々日、朝の新潟駅前、整備工事が続く万代口出口方面から”冬の18きっぷ旅”再開です。

“昭和の新潟駅前”(参考:朝の新潟駅から、越後線へ)からの改修整備が2020年秋に始まって以降、なぜかこの付近を訪れる機会が増えたという妙な(?)縁がある一帯でもあるのですが、そんなこんなで今回は23年夏以来の訪問となりました(参考:工事中の新潟駅前、新潟市公式サイト “新潟駅周辺整備とは“)。

万代口バスターミナル

新潟駅前でお馴染みの風景の一部を形成していた旧・頭端式バスターミナルも24年3月末で廃止となり、同3月31日の始発便より、新潟駅直下に作られた新バスターミナルの利用が開始されます。

参考:新潟交通公式サイト “新潟駅バスターミナル開業について

「またひとつ、昭和が消えていく」ということになってしまう寂しさがある反面、新潟駅の南北バスターミナルが統合されることによって、バス利用についてはその利便性が飛躍的に高まるようです。

ということで、”昭和の頃”以来の風景、より具体的には1973年(昭和48年)10月1日、1960年代後半より進められていたという当時の新潟駅前整備事業の一環として竣工して以来、50年超に渡って機能し続けて来たバスターミナルにとって、いよいよ最後の年末年始となりました。

そんな状況下の、雨の新潟駅前ですね。

もとを辿ると新潟駅前のバスターミナルの歴史は、1930年(昭和5年)に開設された”国鉄バス万代口自動車営業所”に端を発しますが、この営業所は、現在の万代口バスターミナルのルーツの一つにあたります。

この3月で廃止となる現在のバスターミナル開設前(1960年代)、現在の万代シティ付近には国鉄バスターミナル・新潟交通バスセンターが併存していたところ、交通渋滞緩和等を目的とした新規事業として”現バスターミナル”創設が試みられたようです。

つまり、前身となる2つのバスターミナルが都市計画上の目的から新規に統合されたという形ですが、かつて整備事業によって新調されたものが”約半世紀の後の整備”によって廃止に至るということで、昔日の面影が今まさに消えていこうとしているあたりからは、やはり今昔の感に堪えないものが汲めるところかもしれません。

とはいえ「南口の開発が始まり、かつ複数に散っていたバスターミナルが”お馴染みのバスターミナル”に統合された」というのが前回の整備事業、対して「開発が進んだ南口と従来より玄関口となっていた北口=万代口のバスターミナルが統合される」のが今回の整備事業なのだと捉えれば、整備対象地域に経過年数分の進化が感じられもするあたり、なにより明るい要素ではありそうです。

加えて、まだまだこの3月いっぱいまではお馴染みのバスターミナルの”現役”稼働が続きますということで、この日も朝から”いつものような”賑わいを見せていました。

万代口バスターミナルについて、参考:新潟市『新潟市史 通史編 現代』(1997年)、新潟新聞・新潟日報(1930年7月2日朝刊、1973年10月2日朝刊)他

冬の村上へ

そんなこんなで、新潟駅構内へ。こちらはもう既に工事が完了しているということで、首都圏のターミナル駅と比べても見劣りすることがない近未来感の塊と化していますが、

今回の目的地である村上駅行きの電車が待つ三番線ホームの、

新築のホームへ。

新潟県内ではよく見かける、銀色の車体にピンクと黄色のラインが入った電車(JR東日本公式サイト “E129系“)が入線して来ました。

今回も(白新線→羽越本線と路線が変わる新発田駅以降も)途中下車無しで、

一本で村上駅まで。

道中所々で雪は見かけたものの、そこまで深い状態ではなく、

やがて、電車は羽越本線・村上駅へ到着しました。

沿線では、雪があったり無かったりという感じの風景が続き、特に積雪量がすごかったというようなことはありませんでしたが、特に阿賀野川を越えて以降、北に進むにつれて気持ち積雪量が増えてくるようには伝わって来ました。

村上駅前にて

昨年夏の18きっぷ旅では、新潟駅から村上駅を経由する形で(かつ、村上駅での待ち合わせ時間を利用して少々村上の街を街歩きした後で)羽越本線を更に進み、最終的には新潟・山形の県境付近に位置する鼠ヶ関駅まで、という行程を楽しみました。

その際、やや村上での時間に物足りなさを感じてしまったんですよね。

「小一時間程度の待ち合わせ時間のみではなく、もっとゆっくり時間を取ってみて周りたい」ということで、今回は丸一日、村上で過ごすことを予定した上での再訪となりました。

夏以来となる再訪が懐かしい、やや夏の訪問時の記憶が残る駅の外へ。

雪も少々降っていたようですが、やはり、特に豪雪地帯だということもないようです。例年”降るには降る”村上では、雪量が多いのは年末より年明けの1月2月だということから、まだまだ本番前を思わせる状態ですね。

参考:むらかみ防災情報 “村上市の積雪情報

村上駅前名物の”しゃぎり車”とも、昨年夏以来のご対面です。

江戸時代初期(1633年)から続いている毎年7月のお祭りで、現在は国の重要無形民俗文化財に指定されているという”村上大祭”(公式サイト)時に引き回されるという、山車の車輪ですね。

年末モードの村上と”鮭の吊るし干し”

いざ現地についてみると、下調べ時の想定を上回る形で「もっと時間が欲しい」となってしまった、そのための再訪が今回だったのですが、今回村上を訪問したのはガチの年末でした。

方々への見学にしてもギリギリ期待は出来なくもない、ただしここに来てさらに一日ズレてしまったことから、さすがに多くは望めないだろうという状態で現地に向かった、この事前準備が命取りになった面があったことはさすがに否めませんでした。

ということで、まちなか循環バス”あべっ車”(村上市公式サイト)も既に年末年始の運休期間に入っていた(12月29日~1月3日)上、一縷の望みを持って出向いた町屋通り村上市観光協会公式サイト)でもやはり事情は同じで、今回ばかりは間が悪かった!ようです。

結論としては、ワンチャンすらなく成果もゼロだったのかといえばそんなこともなく、町屋通りでは鮭を扱っているお店が何軒か営業中でした。

そのうちの一軒、”千年鮭・きっかわ”(公式サイト)では、

お店の奥にて、鮭の吊るし干しの様子を見学することが出来ました。写真でしか見たことがなかったので満足度は中々高く、土間一面に吊るされた鮭は中々壮観でした。

明治時代に建てられたという店舗内には、完成品の塩引き鮭も展示されていました。

期待していた資料館、文化館関連の見学や町屋通りでの昼食など、”お流れ”となってしまった目的は多数あったものの、それでもこの様子を見れただけでもよかった、と言ったところで今回は町屋通りを後にすることとなりました。

参考:きっかわ公式サイト “町屋の店舗

村上駅前にて、塩引き鮭の昼食

町屋通りでの昼食は残念ながら叶わなかったということで、再び村上駅前へ。

空腹は未だ継続中ということもあって、さすがにテンション下がった状態ではあったのですが、こればかりは仕方ないですね。

ああそういえば、夏の18きっぷ旅を楽しんだときにも似たようなことがあったような気がするな、あの時は確か、谷川岳帰りの水上駅前だったっけ、このままおなかを空かせた状態で次に進まざるを得ないのかと思っていたところ、一転して名物料理にありつけたということがあったんだった(参考:天神平からJR上越線・水上駅へ水上駅前で早めの夕食・おきりこみ)。

さすがに今回は、ここまでくるとキツいかな?

などと思い始めていたところ、今回もまた、幸運に恵まれました。

村上駅前で営業中だったという、旅籠屋さんがルーツの老舗食事処”石田屋”(公式サイト公式Instagram)です。

件のコロナ禍前までは、旅館の営業も行われていたようです(2022年以降、旅館業休業)。

お店に入ると、入り口には旅館時代の写真が飾られていました。”老舗”を感じさせる一枚ですね。

大人数での座敷から”おひとり様”用のカウンター席まで取り揃えてあるのですが、この日はカウンター席へ。

お店名物の”はらこ丼”、ミニサイズのミニはらこ丼を含んだ、みおもて定食です。

村上の鮭が生息する三面みおもて川の名を冠した定食は、ぱっと見でわかる鮭尽くしです。メインであるはらこ丼や焼き鮭をはじめ、どれも均等に美味しかったのですが、特にということでは昆布巻きですね。

もともと好きな一品ではあるのですが、”石田屋”の昆布巻きは今まで食べた中でもベストに近い位美味しかったです。

特急いなほ号で、新潟まで

年末の村上駅前にて昼食にありつけ、再びテンションが上がり始めた頃から、どこかぐずついていた空にも、ボチボチ青空が望めるようになってきました。

名物料理で空腹を満たすことが出来たということもあって満足の心持ちではあったのですが、追い打ちをかけて来るかのように、この青空です。

これで、せめてあと一週間位早い訪問が出来ていれば・・・とは思いたくなるところですが、そこばかりはいかんともしがたいところですね。

とりあえず施設という施設が年末モードに入っている以上、この日これ以上村上にいても出来ることはほぼなさそうではあったので、想定よりも半日ほど早かったのですが、一旦新潟駅まで戻ることにしました。

そういうことであれば早く戻るに越したことはないだろうということで、おあつらえ向きの時刻に到着が予定されていたという、お昼過ぎの特急いなほ号へ。

“村上での街歩きを反芻しつつの、夕方過ぎの復路18きっぷ旅”ではなく、移動は移動と割り切る形の移動へと切り替えていきました。

“いなほ号”自体は昭和の頃から羽越本線を走っていたという結構歴史のある電車ではあるのですが、個人的には今回の乗車が人生初乗車です。

これはこれで、正直かなりテンションあがりました 笑。

肌色の車体に赤のライン、いわゆる国鉄色の特急電車が走っていたのは昭和の時代の話しですということで、上越新幹線開業に伴う運行区間変更の後、現在はぱっと見のスタイリッシュさが目を引くスマートな車両(E653系 –JR東日本公式サイト-)が、新潟駅・秋田駅間で”いなほ”の後継を担っています。

ということで、復路は約30分ほどの旅となりました。

元々は”陸路の長距離移動といえば新幹線”みたいな旅がどうにも物足りないと感じたことから18きっぷ旅の長距離移動(あるいはドライブ旅)に魅せられてしまった、というところが全てのはじまりでした。

この点の感覚は正直言うと今でもあまり変わっていないし、今後大きく変わるともあまり思えないんですよね。

しかし逆に(特にここ数年のように)”18きっぷ旅が長距離移動のスタンダード”となってしまうと、今度はところにより新幹線や特急電車での移動に魅せられてしまうという面が湧き上がって来たりもします。

ないものねだりというのは、まさにこういう心境のことを言うのでしょうか 笑。

この日の帰り道の”いなほ乗車”で感じたのが、まさにそんな気持ちでした。

“手前の田んぼ、奥の山脈”に思うことにしても、かつて新幹線の車窓から見た時のイメージとはやや異なり、特急運転に多少の心地良さも感じましたが、

その後、”いなほ”はほどなく(割と本当にあっという間という感じで)新潟駅に到着しました。

終わってみればあっという間の復路の”乗り鉄”旅ではありましたが、

「手段は目的の影響を色濃く受けることになるのかな」なんて当たり前のことを、今回の18きっぷ旅の最中の特急電車移動にて、改めて思わされました。

どちらの旅にもそれぞれの良さがある、ということですよね。

主要スポット

新潟駅万代口バスターミナル

JR村上駅

千年鮭 きっかわ

石田屋

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